ポパイズは、誰もが知る他の米国のファストフード各社と、英国市場の消費者の関心を競うことになる。ウェンディーズは20年の空白期間を経て、2021年5月に英国で復活を遂げた。いずれは400店舗まで拡大するという野心的な目標を掲げている。
マクドナルドや、手羽先フライのウィング・ストップ(Wingstop)、メキシコ料理タコベルもこのところ、英国での成長を目指して戦略を練っている。一方、こうした動きとは裏腹に、英国の外食産業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と、感染対策のための厳格な措置によって大打撃を被っている。
Revenue Management Solutions(RMS)ロンドン支社のマネージングディレクター、フィリップ・ラック(Phillipp Laque)によると、英国市場がいまも米国のブランドにとって魅力的な進出先であるのには、いくつかの理由がある。第一に、そうした企業の投資家は貪欲で、さらなる成長を求めている点だ。
「問題は、その成長はどこで手に入るのかだ。たしかに、既存の市場にも成長の余地はあるが、ブランドによっては、海外に進出したほうが成長実現の可能性は大きい」とラックは指摘する。
消費者心理の観点から見ても、海外進出には絶好のタイミングだ。消費者はすでに2年近くも非常事態に置かれてきたので、見知らぬものを受け入れようという意欲が高まっている。それは、新しいブランドが提供する料理についても同じだ。消費者のこうした姿勢は、ポパイズが新市場に進出する上でよい兆候であるのは間違いない。
ラックは以下のように述べている。「消費者もブランドも、コロナ禍ですべてがリセットされた。日常の習慣は崩壊し、誰もが自分の暮らしを異なる角度から見直して、見知らぬものに挑戦しようとしている。新しいものを試したいのだ。これは、当社が実施した調査でも証明されており、消費者は『快楽主義的な体験』を求めているという結果が出た。米国発のブランドにとっては、英国市場への参入障壁が低くなっている」
取り残されたくない、という不安もある。ドミノ・ピザやマクドナルドなどの大手ブランドが成功を収め、英国市場を重視しているということは、他ブランドにもチャンスがあることを意味する。