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2021.12.09 07:30

2022年、スタートアップ「スーパー・ブリッツスケーリング」競争時代へ

発売中のForbes JAPAN2022年1月号の特集「日本の起業家 ランキング2022」では、海外機関投資家からの資金流入をはじめ、続々とユニコーンが誕生するなど、ゲームチェンジさなかの「新たなフェーズ」に突入した日本のスタートアップ・エコシステムの全貌について掲載している。
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今後、ウェブ版では「スタートアップ・トレンド」と称して、著名投資家20人以上へのインタビューを連載形式で掲載していく。

Vol.4では、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)・取締役/パートナーの坂本教晃、グロービス・キャピタル・パートナーズ・代表パートナーの高宮慎一へのインタビューを掲載する。(Vol.1Vol.2Vol.3はこちら)

「ディープテック」が定着、進化へ

━━ 東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)・取締役/パートナー 坂本教晃
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金融市場のボラティリティ(価格変動率)が低下するなか、過剰流動性の状況が明らかになってきている。一部の資金は、よりリスクを求めて、フェーズとしてはシードステージ、アーリーステージ、分野としては研究開発型のスタートアップへと向かうだろう。一方、SaaS分野のような数字で可視化できる企業のミドルステージ、レイターステージに関しては、海外機関投資家やプライベートエクイティファンドなどが投資する領域となり、VCがメインで投資できる領域から外れてきている。

伝統的なVCが押し出されている感じがあり、多くのVCがディープテック領域に参入を表明していることからも明らかだが、その流れは加速している。日本のスタートアップ・エコシステムの中心に、ディープテックという言葉がいよいよ定着してきた。

こうした動きは、我々にとっては、ポジティブだ。UTECは以前からシード・アーリーステージ、かつ、ディープテック領域に投資してきたVCであることはもちろん、VCの参入増加は競争環境の激化というよりも、多くの資金を要するディープテックにとってはいい影響を与えるからだ。また、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SFV)が、日本での初投資をバイオ領域のスタートアップに行った。世界的、かつ、資金力のあるファンドが日本のディープテック領域に投資を行う動きも出始めている。

2021年を象徴する事例は、台湾Appier(エイピア)Groupの東証マザーズへの上場だろう。海外のスタートアップが日本でIPOする事例は数少ない。2030年を見据えた長期的視点で見た際に、東京証券取引所が、海外スタートアップを呼び込み、外の成長を内部に取り込んでいく仕組みは大きな流れだと感じている。

投資先の欧州ディープテック・スタートアップなどを見ると、ニューヨーク証券取引所(NYSE)しか見ていない。ロンドン証券取引所(LSE)ではなかなか値段がつかないからだ。単発で終わるのか、トレンドになるかはわからないが、こうした日本が海外スタートアップのイグジット先になるというのはいい動きだ。

グローバル化はイグジットだけにとどまらない。UTECと海外VC(英Nordstar Partners)がシードステージで大型の共同投資をした、日本のものづくりブランドのM&Aおよび成長支援に取り組むforest。そして、革新的な金属3Dプリンターを開発するSUN METALON(サンメタロン)の例だ。同社は、日本製鉄に在籍したエンジニアの西岡和彦さんら日本人が創業し、現在は日本人しかいない組織だが、将来的な市場を踏まえ米国で起業。そして、日本で研究開発(R&D)している。さらに、投資家も、我々と、世界的デザインファームIDEOと組んでいるD4V、米カルフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)のアクセラレーターであるSkyDeckと、多様なメンバーで、国境を超えている。

こうした日本のディープテック企業への世界からの資金の流入、海外スタートアップの日本でのイグジットをはじめ、国境を越えるクロスボーダーの事例が増えているのはいい傾向だ。なぜなら、そもそもテクノロジーに国境はないからだ。今後も、こうした動きが継続的になると、日本のスタートアップ・エコシステムはより面白くなるだろう。(談)
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文=Forbes JAPAN編集部

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