ビットコインの価格は12月5日夕方(米国時間)時点で、3日の急落からはやや回復したものの、1週間前に比べて10%以上下落しており、11月に記録した史上最高値の6万8000ドルからは30%近く下落している。
一方、イーサリアムやその最大のライバルであるバイナンスのBNB、ソラナ、カルダノ、リップルのXRPやドージコインなども急落しており、数日のうちに約3000億ドル(約34兆円)相当の価値が失われた。
ビットコインやイーサリアムをはじめとする暗号価格の急落は、新型コロナウイルスのオミクロン株への懸念や、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小(テーパリング)ペースを加速させる見通しの高まりが原因となっている。
「デジタル資産は、オミクロン株やFRBの動きに関連した広範なリスクオフの圧力を受けている」と、Bequantのリサーチ責任者のマーサ・レイズはコメントした。
直近のCBOEボラティリティー・インデックス(VIX)は1月以来の最高値を記録しているが、レイズはこの状況は短期間で終わると予想している。「VIXがこれほど大きく上昇することはまれで、市場は一般的に、パニックや強制的な売りが収まると、1カ月から6カ月の間にプラスのリターンを得るようになる」とレイズは述べた。
また、2020年3月のパンデミックによる市場の暴落と、ここ1週間の株式や暗号通貨の急落との類似性を指摘する人もいる。
暗号通貨ヘッジファンドArk36のアント・パロイアンは、「現在の状況は、2020年3月に起こったことに酷似している。株式市場は直近の高値から5%急落し、デジタル資産市場にもネガティブなムードが広がっている」と述べた。また、今夏にもビットコインの価格は乱高下したが、「市場はその後、堅調なリバウンドを遂げた」と指摘した。
しかし、パロイアンは、ボラティリティーがトレーダーたちの恐怖心を高め、暗号通貨市場が今後の数週間から数カ月間の間、さらなる痛みに向かう可能性があると警告した。
「ビットコインの強気市場の重要な指標の1つである20週単純移動平均(SMA)が決定的に破られたため、現状では短中期的には弱気の見通しとなっている。そして、短期的に心配なのは、市場が依然として飽和状態でレバレッジ過多な状況にあることで、これにより修正が繰り返されることだ」