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2022.01.05

「顔が見えるマスク」気象庁が導入、官公庁の会見でも?

2021年4月27日に販売開始された『unicharm 顔がみえマスク』使用写真(写真提供:ユニ・チャーム広報)

飛沫感染防止対策の要とされる、マスクの着用。2020年春に深刻なマスク不足が囁かれると、メーカー各社は製造ラインの確保、量産体制の構築が急務となった。それから1年半、今では布やウレタンといった素材の違いだけでなく、機能面やデザイン面でも多種多様なマスクが製造・販売されている。

昨今とりわけ注目を集めているのが、口元がよく見えるよう設計された「顔が見える透明マスク」だ。ここでは、各社の「顔が見える透明マスク」の現状を紹介する。


透明マスク開発の主な要因


マスクの着用が各所で義務付けられるに伴い、口元や表情を覆い隠すマスクの存在が「意思疎通を困難にしている」と一部で問題視されるようになった。高齢者や聴覚障がい者のコミュニケーションを阻害するだけでなく、子どもの教育にも影響があることがわかってきたのである。その需要に応える形で始まったのが、「顔が見える透明マスク」の開発だ。透明マスクは気象庁会見で使用されたことで世間の注目を集めることとなった。

ユニ・チャーム 開発背景は社員の苦悩


現場社員のリアルな声を反映して透明マスクの開発に踏み切ったのは、『超立体マスク』や『超快適マスク』を展開するユニ・チャームだ。同社では、2021年4月27日より『unicharm 顔がみえマスク』の販売を開始した。

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社員の声を反映し開発された『unicharm 顔がみえマスク』使用写真(写真提供:ユニ・チャーム広報)

同商品は、曇り止め加工が施された透明フィルムによって顔がはっきり見えながらも隙間が少ない全方位フィット構造で、口元に張り付かない立体構造を採用。飛沫感染防止対策としてのマスクの役割を担保したうえで、顔や口元がしっかり見える仕様を実現した。

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『unicharm 顔がみえマスク』 全方位しっかりとフィットする構造になっている(写真提供:ユニ・チャーム広報)

開発に際しては、聴覚障がいを持つ同社社員のコロナ禍における苦労があったという。コロナ禍が始まった2020年、マスクの着用が常態化し、テレワークの推進によってオンライン会議の頻度が増したことで、聴覚障がいをもつ社員にとってはコミュニケーションの難しい日々が続いた。

透明フィルムを使用した手造りのマスクをチームメンバーに配るといった対策を試みたが、話しているうちに口元が曇って見えづらくなるという課題を抱えていた。

また、別の社員は「マウスシールドなどの代替品をお願いするのも、顔とマスクの隙間が通常の不織布マスクよりも広がってしまうことなどから、使用をお願いするのも気が引けた」と苦しい当時の状況を振り返る。

『顔がみえマスク』の開発・商品化によってこれらの課題を一気に解決することに成功した同社。今では同商品を着用することで、円滑なコミュニケーションが実現しているという。
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文=アステル 編集=石井節子

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