アマゾンUKの2020年の総売上は486億ドルで、テスコの総売上857億ドルに大きく水をあけられている。しかし、小売市場調査会社エッジ・リテール・インサイト(Edge Retail Insight)の予想では、テスコの売上は2025年に1019億ドルに上るが、アマゾンはそれを上回る1031億ドルに達し、英国1位の小売企業に躍り出る見込みだ。
同じ予想によると、セインズベリーズの2025年売上は565億ドルで、英国第3位を維持する見込みだ。また、ウォルマートが売却してEGグループ傘下に入ったアズダは、2025年に358億ドルの売上になるとみられている。
オンラインと利便性
アマゾンは、オンライン販売に関する比類なき専門知識を活かしつつ、生鮮食料品小売業のシェアを大きく広げようとしている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによるロックダウン中、生鮮食料品をオンライン購入することへの消費者の抵抗感はすっかり薄れた。実店舗が営業を再開してからは、オンライン売上は落ち着いているが、コロナ禍で生鮮食料品の需要がオンラインへと移行したことは疑いようのない事実だ。
オンライン販売がさらに成長すると見られる一方で、テスコとセインズベリーズでは、とりわけ都市部繁華街やガソリンスタンドなどを中心に展開しているコンビニエンスストア事業が好調で、大きな業績をあげた。そうしたコンビニエンスストアは、消費者がすぐに必要としている必需品などを提供できるだけでなく、ネット注文した商品を受け取る店舗としても重要だ。
これらはみな、アマゾンにとっておなじみの領域に思える。
アマゾンが英国で小売事業を拡大させるのではないかという今回の噂が囁かれる前には、同社がロンドン一帯で、従業員の送迎用バスを複数のルートで運行していることが報じられた。
地元の報道によれば、アマゾンは4つのバス路線を運行し、ロンドン市内と、同社倉庫がある郊外を結んでいるという。ルートと時刻表は、ロンドンの南東にあるダートフォードとティルベリー、北西にあるヘメル・ヘムステッドのフルフィルメントセンター(物流拠点倉庫)のシフトに応じて設定されている。