CDCの統計によれば、2021年4月までの12カ月間で、薬物過剰摂取による死者は10万306人にのぼると見られるという。米国で12カ月間の薬物関連の死者が10万人を超えたのは、今回が初めてだ。CDCによれば、死者のうち7万5000人以上はオピオイドによるものだという。
死者数が最も急増したのはバーモント州で、2021年4月までの12カ月間に、前年の12カ月間と比べて70%近く増加した。次いで増加幅が大きかったのは、ウェストバージニア州(62%)とケンタッキー州(55%)だった。
オピオイドによる死者の圧倒的多数は、人工合成されたきわめて強力なオピオイド系薬物であるフェンタニルの使用を原因としていた。フェンタニルによる死者数は、12カ月間で6万4178人にのぼった。
薬物過剰摂取による死者数の総計は2014年から倍増しているが、フェンタニルの過剰摂取による死者数は、まさに指数関数的に増加している。2014年以前は、米国におけるフェンタニル過剰摂取による1年間の死者数は、おおむね3000人未満だった。
パンデミックの勃発以降、薬物の使用や過剰摂取が危険なほど増加していることは、複数の調査で一貫して示されている。専門家らは、薬物乱用につながる主な要因として、ストレスや悲嘆の増加を挙げている。
薬物使用は全米で急増しているが、アパラチア地方やニューイングランドのように、他の地域よりも突出して増えている場所もある。こうした死者数が減少したのは、ニュージャージー、デラウェア、ニューハンプシャー、サウスダコタの4州だけだった。
サンフランシスコのロンドン・ブリード市長(民主党)は11月16日、医療専門家のもとで薬物を使用できるセンターを2022年にも開設したい考えを明らかにした。過剰摂取による死者数を減らす効果を期待したものだが、現在の連邦法のもとではそうした施設は認められていない。