「イノベーションの最大の源泉」である共感力を身につけるには

マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ(Photo by Sean Gallup/Getty Images)


リーダーとして、イノベーターとして、私たちが学ぶべきもっとも重要なスキルは、反対の情報に共感をもって耳を傾けることだ。ここで「反対の情報に」と限定するのは、耳に心地よい情報は、ふつう容易に吸収できるからだ。一方、不愉快な、あるいは反対の情報に対して、共感をもってアプローチするのは難しい。

だからこそ、自分と対立する、避けて通りたくなるような情報に対して、進んで耳を傾け、吸収することが重要なのだ。内部や外部の顧客から、反発したくなるような言葉を聞いたときは、次のプロセスに従おう。

第一に、自分が聞いたことを復唱する。相手に対して、「おっしゃっていることがきちんと理解できているか確認したいのですが」と前置きしてから、自分が聞いた言葉を繰り返すのだ。

このテクニックの利点のひとつは、否応なく相手の発言に注意を払うようになることだ。言うまでもないことだが、相手の話を聞いていなければ、復唱することはできない。加えて、集中して相手の話を聞くことで、内容を吸収し、自分のなかで再構成できる。

ナデラの言葉を思い出そう。「『イノベーションとは、市場のなかにある、具体化も充足もされていないニーズを満たすことだ』と言われるが、これは究極的には、具体化も充足もされていない人々のニーズを満たすことにほかならない」

次に、あなたが相手の考えをはっきり理解できているかを確かめるために、相手に直接尋ねてみよう。「このような理解でよろしいでしょうか?」。この最終確認で、あなたが、(社内、社外、あるいはその他の)顧客の言葉を正しく聞き取れていたとわかったら、あなたの共感力は新しいレベルに飛躍している。

顧客からの批判的な情報に、本当の意味で耳を傾け、吸収できる数少ない人々の一員になれたなら、あなたは組織のなかで特別な役割を担うことになるだろう。顧客のニーズを本当の意味で理解することは、誰にでもできることではない。そのスキルをもつ人は、何者にも代えがたい存在なのだ。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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