CEOが良い模範を示すことは、ハラスメントを減らす上で常識的な最初のステップだ。CEOが女性の体についての冗談を飛ばすツイートをするようでは、一流企業ではなく男子学生の集まりのような振る舞いをしたがる従業員にお墨付きを与えてしまうことになる。
バラーサはマスクのツイートについてワシントン・ポスト紙に対し、「これは工場にとって良い手本にならない。『彼がこんなツイートをしているのだから大丈夫』という印象を与えているようなものだ」と指摘した。リーダーがこうした冗談を飛ばす企業で働きたいと思う女性はほとんどいないだろう。こうした発言は、女性を物と見なすものだ。
女性にとって快適な環境を作る上で、CEOは子どもじみた振る舞いはしてならないだけでなく、ハラスメント防止や、快適な労働環境づくりに注力しなければならない。先日には、ビデオゲーム企業アクティビジョン・ブリザードのCEOが、社内で横行していた従業員の問題行動について知っていたとのニュースが報じられた。CEOは問題についての調査が始まった後も、理事会に対して自分の知っていたことを報告しなかった。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、問題行為が告発された従業員の一部は会社を辞める際に称賛され、社員はこの問題について口外しないよう求められていた。
素晴らしい電気自動車(EV)をつくり、再使用可能ロケットの開発で先駆的存在となり、ロサンゼルスとサンフランシスコの間を35分以下でつなぐ高速交通機関の開発を目指すマスクなら、その気になりさえすれば、テスラを女性が働きやすい会社にする方法を見出せるはずだ。少なくとも、自身がツイートした冗談は笑えないことに気づくことを願いたい。