英国の王族は伝統的に、政治に関しては中立の立場を維持することとされており、問題視されているのは、メーガン妃が「サセックス公爵夫人」として書簡を送ったこと。また、同妃が共和党の議員数人に直接電話をかけ、制度化への賛同を求めたことも、議論を呼んでいる。
米誌ニューヨーク・タイムズが開催した「ディールブック・オンライン・サミット」に参加したメーガン妃は、夫の家族は「慣例」として、「政治に関与しない」ことを認める一方、「私の考えでは、有給休暇(の制度化)はまさに人道にかかわる問題です」と明言した。
英紙タイムズはメーガン妃のこうした行動について、バッキンガム宮殿の関係者の一人は次のように語ったと伝えている。
「(英国の)王室メンバーには、米国の政治に対する発言権はありません」
「王室一家は政治に関して、あるいは自らの称号が“文脈から切り離されて”使用されたり、“使用の動機に疑念が持たれる”たりする可能性がある場合には、称号を使用することを“避けています”」
この王室関係者はまた、「環境問題やメンタルヘルスの問題など、“問題”について活動すること」と、「政策に賛同すること」には違いがあると指摘。メーガン妃には、米国のその他の母親たち以上に、「力強い声」を持つ「権利はない」と述べている。
政治的な影響力のために称号を使っているとして、過去にもメーガン妃を厳しく非難していた共和党のジェイソン・スミス下院議員(ミズーリ州)は、改めて同妃を批判。政治的な発言をする際に称号を使うべきではないと強調している。
下院民主党の指導部は先ごろ、バイデン大統領が発表した「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」を目指す歳出法案について、4週間の有給の家族休暇を盛り込む修正案を提出した。だが、これにはジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)らが反対しており、可決されるかどうかは依然、不透明だ。
すでに英王室を離脱
「サセックス公爵」夫妻の称号を持つヘンリー王子とメーガン妃は2020年、王室の「主要メンバー」から外れ、公務から引退する考えを表明。一定の期間、米国で暮らすことを明らかにした。
さらに、王室は今年2月、ヘンリー王子夫妻は今後、王室を代表して行動することはなく、民間人として生活することになると発表。夫妻はその後、新型コロナウイルスワクチンの公平な分配や気候変動問題への取り組みなどについて、呼び掛けを行っている。