Netflixが、是枝裕和監督との新作製作を発表。ドラマシリーズと長編映画

東京国際映画祭での是枝裕和監督(11月1日、東京ミッドタウン日比谷)(Photo by Yuki Tanaka/Getty Images)

Netflixは、今後、是枝裕和監督と新たな映画やドラマの製作を進めていくと発表した。10日に行われたNetflixの新作ラインナップ発表会「Netflix Festival Japan 2021」のなかで明らかになった。

このイベントに動画で登場した是枝監督は、現在、Netflixとタッグを組んで、オリジナルのドラマシリーズと、「これまでとは規模の違う大きな映画」を製作していると語った。「劇映画とは違った要素をふんだんに盛り込んでいる」という。

なぜ是枝監督は、Netflixとのタッグを決めたのか。

是枝監督は、2018年に『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞。名実ともに世界を舞台に活躍する人物だ。

そのため映画監督のイメージが強いが、本人いわく、「必ずしも映画だけをやり続けてきたわけではないし、これからもそのつもり。実はいちばんやりたいのは連ドラ」だという。しかし、是枝監督のやりたいものは、「国内の民放の地上波でできるかというと正直なところちょっと難しい」。

いま手がけているNetflixオリジナル作品では、いまちょうど大掛かりなセットを組んで、ドラマの舞台をつくっているところだという。

「昨日もそのセットに行ったけれど、国内マーケットだけを視野に入れていたら、こういうものはつくれないなというのが正直なところ。それは大きい。こうした経験を20代〜30代の若い監督たちにさせることができるのが嬉しいですね」

連続ドラマシリーズでは、是枝監督は総合演出、いわゆる“ショーランナー”というかたちで製作にかかわりながら、シリーズの何話かを担当する。これも「自分がやってみようかなと思った大きな魅力」だという。

Netflix は、2021年第3四半期(7月〜9月)の決算で、前年同期比16%増の74億8346万ドル(約8600億円)の売上高を計上する好成績を記録。好調を背景に、ビッグバジェットで製作できること、さらに世界190の国と地域の視聴者に届けられることは、作り手にとって大きな魅力であるはずだ。

さらに是枝監督は、劇場公開ではなく、配信のための作品を製作することについて、現実的には劇場公開が難しいような「とんがった作品」が、日の目をみずに終わっていくのではなく、配信という形をもつことできちんと「生まれる」のがとても大きいという。

「いままでのしがらみから離れたところで、新しい作家が、新しい作品を生み出すチャンス、そういうステージになっていることは間違いない。そのことは僕にとってもすごくプラスだと思っています」と語った。

文=松崎美和子

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