経済・社会

2022.04.26 08:30

日本のコロナ初期対策評価、23カ国中何位だった?

『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)


“トランプ政権はアメリカの財政力と科学力を結集し、通常なら何年もかかるワクチン開発で、「1年以内の実用化」という奇跡に近い目標を掲げた。……(中略)
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特にワクチン開発では、FDA(アメリカ食品医薬品局)承認直後に確実に大量のワクチンを入手するために、巨額の公的資金をつぎ込んで、有望な、しかし承認される保証はないワクチン候補薬の生産を開始させた。承認されなければ、作ったワクチンも、それに使った税金も無駄になる。普通の政治家なら考えないギャンブルのような計画を決行できたのは、やはり、「既成政治のアウトサイダー」であるトランプ大統領だったからだろう。”

コロナ社会を導くリーダー像とは?


ワクチン実用化を推し進めることに成功したトランプ氏だが、結局は大統領選でバイデン氏に敗れその座から降りることになった。「強いアメリカ経済」や「パワフルな大統領」としての再選を優先し、自らの支持者層をあおる発言を連発したことは団結よりも分断を招くこととなった。

“コロナ下で国を率いたリーダーにはいくつかの共通項があるように思う。まずはそれぞれが市民に向かって頻繁に、直接発信し続けたという点は確かな事実だ。
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市民との連携を強めていったリーダーには「共感力」、つまり立場の異なる市民の不安や辛さを察し、思いやることができる能力があっただろう。さらにもう一つは「伝える力」、すなわち言葉やあらゆる術を尽くして伝え、説得し、行動させる力もあったのではないだろうか。広く市民全体に対し、細やかな共感力とコミュニケーション力を持てば、それは連帯に繋がるが、ある特定のグループに向かってだけその能力を発揮すれば、見事なまでの分断を加速させてしまう。”

本書に登場するリーダーたちの物語を概観して、栗田さんはこのように言う。

国民との直接対話の機会を設けたドイツ首相、子供向け番組に出演しコロナ対策をわかりやすく説明したベルギー首相、科学に基づいた冷静な対策でパニックから守ったスウェーデン首相、国民目線に立ち市民に語りかけ続けたニュージーランド首相……。

コロナ禍で優れたリーダーシップを発揮した者、そして反対に馬脚を現してしまった者たちの執政をつぶさに観察したこの記録は、いましばらく混乱が続く我々の社会に必要なリーダー像を教えている。

(この記事は、光文社新書刊『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』から編集・引用したものです)

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文/藤沢緑彩

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