Forbes JAPANでは、これまでの考え方や既存のシステムを超えて活躍する女性にフォーカスした企画「Beyond Systems」を始動。翻訳コンテンツを含めたインタビュー記事を連載していく。
いまやひとつの職業ともいえる“インフルエンサー”だが、近年は、フォロワー数よりもエンゲージメント、あるいはコミュニティなど言われるようなっている。米国の起業家、スージー・ホルマン(Suzy Holman)は、まさにその転換を成し遂げ、大きな成功を手にした。
彼女はなぜインフルエンサーとしての地位を手放し、新たな一歩を踏み出せたのか。
ソーシャルメディアが新たに誕生すれば、その分、インフルエンサーになれるかもしれないという期待が高まる。新型コロナのパンデミックのさなか、インフルエンサーと提携したブランドが増加したこともあり、2021年のインフルエンサーマーケティング業界の規模は138億ドルに上ると予想されている。
2020年のインフルエンサーによるマーケティングキャンペーンは、インスタグラムが独走して全体の96%を占めた。そしてパンデミック中にはさらに、どのようなブランドを宣伝し、どのようなコミュニティを構築すべきなのかを、インフルエンサーがより真剣に考えるようになった。
起業家のスージー・ホルマンは、起業する前のインフルエンサーだったころ、自分のフォロワーとのかかわり方に違和感を抱いていることに気付いた。そして、新規フォロワーを増やすよりも、コミュニティを構築することのほうが重要であると決断した。
やがて、コミュニティのメンバー数が15万人を超えると、ホルマンは彼らの力を借りて「Jovi」と命名した会社を立ち上げた。ナノサイズのコンデンサー技術を使った生理痛緩和パッチを製造販売する会社だ。パッチは現在、医療機器として米食品医薬品局(FDA)に承認を申請しており、合衆国特許で保護されている。Joviは、2021年2月にプレオーダーを開始。その直後の4時間で、売上は100万ドル(約1億1000万円)を超えた。
ホルマンは、「私のインスタグラムコミュニティに、このパッチと技術についての意見を求めました。パッチへの関心がとても大きかったので、インフルエンサーとしてやってきたこと、5年をかけて作り上げたこと一切を投げ打とうと決めました。『よし、Joviに全力を注ぎ込んで、製品を世界中に広めよう』と考えたのです」と振り返る。