ビジネス

2021.11.02

起業初期に苦戦した採用 1人目のエンジニアに出会うまで|食べチョク 秋元里奈 #2

食べチョク代表 秋元里奈 (提供=DIMENSION NOTE)


同様にオフラインの活動も、定性的な目的設定をしてこそ続けられることだと思っています。

例えば、新型コロナウイルスの流行で今はできなくなってしまいましたが、「企業内マルシェ」という企画では、大企業の社食や休憩スペースに長机を一つ置いて、生産者さんのマルシェを実施していました。その際に私たちは一切お金をいただかず、その場を生産者さんに提供する役割に徹していました。

これを実施した際に定めた目的は2つあって、1つは食べチョクの認知を広めること。もう1つは、生産者さんと直接会話をすることです。

このように定性的な目的に振り切ったことが、企画を継続できた要因なのだと思います。オンライン完結で出来ることは、たしかに定量的な効果が出やすいですが、逆に言うとそれは誰にでもできるということ。当たり前ですが競合他社もできるし、大企業が参入してきたら大きな資本を投下されてしまいます。

思想の伝播は、数字には表れないけれど参入障壁になる。その信念が、コミュニティづくりやオフライン施策を続けるうえで大切だと思っています。

「創業10ヶ月間社長1人」から始まった


──組織に関して、意識されていることをお聞かせください。

組織づくりは「文化づくり」だと思っています。私たちの行動指針に「WOWを届ける」というものがあります。

要は期待値を超える行動をするということなのですが、お客さんに対してはもちろんのこと、社内に対してもWOWを褒め称え合う文化をつくっています。

例えば社内でよく使う言葉として「間に落ちているボールを拾う人を評価する」というものがあります。自分の与えられた領域だけを淡々とやるのではなく、周囲の期待値を超えて行動する。こういった価値観が根付いているからこそ、自然とボトムアップで施策が生まれるのです。

行動指針や評価制度などの仕組みを構築するのは「文化づくり」をするため。これがチームビルディングにおいて大切なことだと思っています。

null
食べチョク代表 秋元里奈 (提供=DIMENSION NOTE)

──秋元さん自身はエンジニアではない中で、どのようにして組織をつくられていますか?

ビジネスサイドとエンジニアサイドでは文化も違いますし入社動機も違うので、評価制度なども切り分けて考えています。

例えば私たちの場合、ビジネスサイドの人間はビジョン共感型のメンバーがすごく多いのですが、エンジニアサイドはビジョンへの共感は前提としてありつつも、「自己成長」や「優秀なチームでのプロダクト開発」という軸が強い傾向があります。

なので各メンバーが成長できているかをこまめに1on1でエンジニアのリーダーが確認する仕組みなどを設計しています。
次ページ > 一人目のエンジニアがポイントに

文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事