中国がアリババをはじめとするインターネット企業の取り締まりを開始してから1年以上が経過したが、マーが海外に出かけたと報じられたのは、それ以降で初めてのことだ。杭州に本社を置くアリババは、中国の独占禁止法に違反したとして、4月に28億ドル(約3200億円)という過去最高額の罰金を科されていた。
一方、フィンテック企業のアント・グループは、マーが中国政府を批判した後に、昨年11月に当局にIPO計画を中止に追い込まれた後、今年9月末に資本増強を承認された。
保有資産が417億ドルのマーは、今でも中国で4番目の富豪だが、SCMPの記事によると、彼の今回の旅は個人的なものだという。記事には、オランダの農業テクノロジーの研究施設を訪問したマーの写真が掲載されているが、それらの施設では、温室用屋根を製造する中国のBOALグループのテクノロジーが展示されているという。
アリババの広報担当者はコメントを控えている。マーの個人的な慈善団体であるジャック・マー・ファウンデーションもコメントに応じていない。マーは、2019年にアリババ会長を退任し、慈善活動や非営利活動に専念すると述べていた。
SCMPによると、マーは現在、ヨーロッパの農業技術と、アリババのクラウドやAI(人工知能)を組み合わせることで、中国の農業の近代化に貢献できると考えているという。先週、彼は農業と環境関連の技術の視察のためにスペインを訪問したと、SCMPは別の記事で書いていた。
中国の習近平国家主席は、貧富の差を是正するために、「共同富裕」と呼ばれる方針を打ち出し、低所得者層や過疎地の開発の支援を行おうとしている。アリババは9月、習のキャンペーンを支援するために155億ドルを寄付していた。