同社が値上げを決定した背景には、商品原価の上昇に加えて、幅広い品ぞろえを望む消費者の声が高まっていることがある。ダラー・ツリーは、価格が1ドル以上の商品を販売する「コンボ・ストア」(ファミリー・ダラーとダラー・ツリーを一体化した店舗)と「ダラー・ツリー・プラス」をすでに試験的に展開しており、値上げについて自信を見せていた。
ダラー・ツリーの値上げについて、米通信大手ベライゾンの小売・旅行・流通担当マーケティング戦略リード、デイビッド・ナウマン(David Naumann)は、「1ドルショップが2ドルや3ドル、4ドル、さらには5ドルの商品を販売しても、お買い得だと思えれば消費者は気にしないのではないか」と書いている。
ダラー・ツリーの最高経営責任者(CEO)でプレジデントのマイケル・ウィティンスキー(Michael Witynski)は、「当社のお客様は何十年も前から、1ドルで『お買い得商品を探すスリル』を味わってきた。私たちは今後もそのコアバリューを提案し続けていくつもりだが、品ぞろえの豊富な店舗を望む声も多くあがっている」と話す。
「ダラー・ツリーで1ドルを超える価格の商品を試験販売することで、品ぞろえを徐々に増やしたり、新商品を販売したり、顧客の日々のニーズに応えたりできるようになると考えている」
同社は現在、ダラー・ツリー・プラスの全店舗で、価格が1ドルを超える商品を販売している。しかし、昔ながらの1ドルショップであるダラー・ツリーの店舗で1ドル以上の商品を取り扱うことについてはより慎重に進めており、試験販売をさらに行ったうえで、全店展開していく方針だ。
「大事なのは、1ドル以上の価格の商品が並ぶエリアをはっきりと示すことだ。そうしておけば、買い物客が支払い時に驚かずに済む」。マーケティング企業キャシー・ホトカ&アソシエイツのプリンシパルを務めるキャシー・ホトカはそう述べた。
ダラー・ツリーのウィティンスキーは、「ダラー・ツリーは『試行しながら学習していく』組織であり、今回の新たな価格展開も、同じ姿勢で取り組んでいる。顧客の声に耳を傾けており、今よりも優れた買い物体験を提供できるようになるはずだ」と語った。