経済・社会

2021.10.15 08:30

活躍の場を広げる「すごい公務員」たち。今年の受賞者は?

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新たな挑戦から新しい仕組みを生み出す


福祉領域でも日々挑戦しながら成果を上げる公務員が存在する。龍ケ崎市(茨城県)の寺田遼は県内初の生活困窮者対象の無料職業紹介事業所を立ち上げ、「ジチタイワークス賞」とのダブル受賞を果たした。
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龍ケ崎市の寺田遼

コロナ禍で約15倍となった相談者の悩みの多くは仕事だったが、寺田はそれらの悩みにきめ細かく対応するために自らが講習を受けて、職業紹介事業所の開設を企画。わずか数カ月の準備期間で、この4月から事業を開始、既に2名に仕事を紹介している。

女性の起業支援に力を尽くした公務員もいる。太田市(群馬県)の山本伸一は女性起業塾「なでしこ未来塾」を立ち上げ、塾の卒業生同士の横のつながりや新たなビジネスチャンスを生み出した。
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また「一般社団法人なでしこ未来塾」創設も支援し、スムースに活動が継続する仕組みを構築。この塾は令和3年度「ぐんま輝く女性表彰」女性支援賞を受賞している。「出来ない理由を言う前に出来る工夫を考える」が山本の信条で、その強い意志が「PR TIMES賞」「自治体通信賞」とのトリプル受賞につながった。

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太田市の山本伸一

最後に紹介するのは、馬とともに「まち」へ飛び出し、市民とともにその価値を高めた堺市(大阪府)の高松俊だ。活用されていなかった駅前公園で市民とともにカフェを出店したり、グランピング等の社会実験を実施したり、規制や慣例を打破しながら、多面的に新しいまちへの再生を手掛けた。

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高松は、時に「馬」に乗ってまちなかを移動することも

業務外でも3つの任意団体の代表や副代表として活動する高松は、受賞発表の約1週間後に役所を去ったが、民間人という立場になっても力強く手綱を握り、新しい世界に挑戦し続けている。


近年、志を抱いて官民の間を往き来する人たちが現れてきた。地方公務員アワードの歴代受賞者のなかにも、新たに起業したり、ベンチャー企業に転職したりする人も現れてきた。

一方、その逆の流れで、民間企業からの転職者や、副業として役所で働く人も急速に増えてきている。9月に発足したデジタル庁の民間人採用も、今後もその流れに拍車をかけることだろう。

これまで日本では公務員と民間人が大きく隔てられているような気もするが、海外では垣根なく官民の間で人材は往き来している。もしこの記事で公務員の仕事の魅力が多少なりとも伝わったとしたら、さらにその世界を知ってみてはいかがだろうか。「お役所仕事」らしからぬ役所の仕事が、思いのほか存在しているのである。

連載:公務員イノベーター列伝
過去記事はこちら>>

文=加藤 年紀

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