モデルナによると、カリフォルニア州にある医療機関カイザー・パーマネント・サザンカリフォルニアでの70万人あまり(ワクチンを2回接種した人と接種を受けていない人が半数ずつ)を対象とした調査で、モデルナ製ワクチンは入院の予防で96%、感染予防で87%の効果が確認された。接種済みの人の感染例は47%がデルタ株によるものだった。
また、9州の計3万3000人あまりを対象とした米疾病対策センター(CDC)による最近の調査でも、モデルナ製ワクチンは入院の予防で95%、応急治療や救急外来の予防でも92%の効果が示された。この調査の対象期間にはデルタ株が優勢な変異株になっていた。
一方で、モデルナがこの日発表した査読前の論文によると、ブレークスルー感染率は、接種を昨年受けた人よりも今年受けた人のほうが低かった。
ワクチンを少なくとも1回接種した2万6000人あまりを調べたところ、昨年7月から8月に接種した1万6747人ではブレークスルー感染は162例だったのに対して、昨年12月から今年3月に接種した1万1431人では88例だった。調査時期に関する調整を加えると、後者のほうがブレークスルー感染率は36%前後低い計算になるという。
モデルナのスティーブン・ホーグ社長は、今回のデータから推定すると、今年の秋から冬にかけて「免疫低下」によって感染者が60万人増える可能性があると指摘。うち一部は重症化したり死亡したりするとみられることから、モデルナとしては2回目の接種から半年後に追加の「ブースター接種」を推奨していると説明した。
これらのデータが重要なのは、3回目の接種の必要性をめぐって各国で議論になっているからだ。米国はすでに、免疫システムが弱まっている人を対象にブースター接種を開始。月内には規制当局の承認が出しだい、一般向けにも始めることを計画している。
他方、世界保健機関(WHO)の幹部を含む一部の専門家は新型コロナワクチンについて、重症化や死亡を防ぐ効果は落ちないようにみられるとして、ブースター接種が必要であることを示す証拠は今のところないとしている。