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2021.09.11 12:30

1/100万秒まで計った東京五輪の舞台裏。競技を面白くした「オメガ」の活躍

TOKYO 2020 オリンピック。

すべてが異例ずくめのなか、自らを磨き上げ、ほんの僅かな時間差でしのぎを削るアスリートの記録を、我々は当たり前のように目にし、それに感動していた。

瞬時に表示される順位や、誤差なく計測されるタイム、スピード、高さ……。そこには、時計界の“トップアスリート”であるオメガの、オリンピアン並みの努力と工夫の結晶が注ぎ込まれていた。

かつてより10万倍の精度を持つタイム計測


都内某所の沿岸に建てられた「オメガ ショーケーシング」。そこではまず、オメガとオリンピックの歴史が出迎えてくれた。

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ドラマの裏側に迫るべく、今回はオリンピックのオフィシャルタイムキーパーを務めるオメガの展示施設「オメガ ショーケーシング」に潜入。

オメガが初めてオフィシャルタイムキーパーとなった1932年のロサンゼルス大会から今大会までの進化の歴史が、タイム計測に使われた道具とともに並ぶ。

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1932年に初めてオメガが使用したクロノグラフウォッチ。ストイックながら美しい佇まいだ。

では、今から約90年前に行われたロサンゼルス大会では、実際にどんな道具が使われていたかご存じだろうか? 答えはズバリ、ストップウォッチ。

オメガのエンジニアが徹底的に調整した30個のストップウォッチを携えてスイスからロサンゼルスへと赴き、審判に手渡したのだ。

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デジタル計測技術が導入される以前は、ゴールにランナーの数だけストップウォッチを持った審判を配置し、それぞれの選手のゴールの瞬間にタイムを止めていた。

当然ながら精度は抜群で、1/10秒単位まで正確に測定可能。中間タイムも記録できるヌーシャル天文台認定のクロノメーターは、各所から大絶賛を浴びたそうだ。

……ん? 1/10秒? そう、当時はこれが最先端。ちなみに、現在のオメガ製最新タイマーでは実に1/100万秒まで正確に計時するから、その精度の“記録”は、当時から10万倍進化していることになる。

音速の誤差も許さないオメガが目指す、“計る”の最先端


お次はその“最新系”を体感すべく、TOKYO 2020で実際に使われている機器を設置した陸上の擬似トラックへと移動。

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実際の短距離トラック競技で使用されるスターティングブロックが設置されていた。

選手はスターティングブロックに足をかけ、ピストルの合図でスタートし、ゴールを目指すわけだが、この数秒の流れの中にはたくさんの驚きが潜んでいた。

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スタートの合図に使われるピストル。そう言えば、いつからか運動会でも見慣れた「火薬式」じゃなくなっていたような……。

まずはピストル。

オメガが誇る最新型は、ピストル本体からは音が出ない。なぜなら、音の伝達速度によってピストルに近い選手と遠い選手との間にわずかながら時差が生まれるから。ゆえに最新版は電子式。

引き金を引くことで各選手のスターティングブロック後方にあるスピーカーから音が“再生”されるのだ。と同時に、電子ピストルの作動によってスタート信号が計時装置へと発信。スタートからゴールまで、一貫性のある正確な測定を実現している。

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すべてのブロックの後方に、スピーカーが設置されている。

スターティングブロックもオメガ製で、内蔵センサーが圧力を感知。圧倒的な感度と精度を持ち、フライングを探知する。

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ゴールラインの両端に設置されているのが「フォトセル」。写真上部の赤いカメラが「フォトフィニッシュカメラ」。

トラックのゴール地点に待ち構えるのは、2段構えの計測機器だ。昔でいう“ゴールテープ”の代わりとなるのが、光線を放射するフォトセル。

先頭の選手が光線を通過すると、そのタイムが瞬時に記録される。ただし、これはあくまで暫定タイム。正式タイムは、ゴール地点を見下ろすフォトフィニッシュカメラが担当するのだ。

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コチラが「フォトフィニッシュカメラ」。ちなみに、一般的なビデオカメラで1秒間に30コマ(枚)程度の撮影を行う。
次ページ > フォトフィニッシュカメラの仕組みとは

取材・文=増山直樹

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