中でも最も大きな打撃を受けたのが、米国に上場する中国最大の企業であるアリババの株価で、週のあたまから20日金曜日までの下げ幅は15%以上に達し、時価総額は4240億ドルにまで落ち込んだ。
Eコマース分野でアリババの競合であるJD.comとPinduoduoも、先週の株価の下落で、それぞれ200億ドルと100億ドルの時価総額を喪失した。
バイタル・ナレッジの創業者でアナリストのアダム・クリサフルリは、「中国は依然として世界の大きな懸念材料だ」と述べ、中国政府が7月にはオンライン教育企業に対して営利目的のビジネスモデルを廃止するよう要求したことを指摘した。
先週の中国株は、習近平国家主席が17日に、「過度に高い所得」に対する規制を行い、国内の富を再分配すると宣言して以降に急落した。この余波でLVMHやグッチの親会社であるケリングなど、中国市場に依存する欧州の高級ブランドの株も売りに出されている。
米国で上場しているオンラインゲーム会社のNetEaseやEV(電気自動車)メーカーのNIO、インターネット企業バイドゥなどの株価は先週、それぞれ11%、10%、10%の急落となった。
その結果、米国で取引されている中国の大手企業10社の時価総額は先週、合計で約1530億ドルの縮小となった。10社の時価総額の合計は約9400億ドルだったが、その15%以上が失われた形だ。
元メリルリンチのトレーダーで、ニュースレター「ザ・セブンズ・リポート」を創設したトム・エッセイは、中国がわずか数週間のうちに厳しい規制を導入し、投資家の間の警戒感を高めたと指摘した。「中国は巨大な市場であり、成長の可能性を秘めているが、明らかな規制上のリスクがあり、それは月を追うごとに大きくなっている」と彼は述べている
米上場の中国株指数は2月から51%暴落
中国の国務院と政府は11日、市場のほぼすべての分野を対象とする今後5年間の経済規制の要綱を発表した。さらに18日に中国工業情報化省は、テンセントのWeChatを含む43のアプリでユーザー情報の違法な転送があったとして、親会社に是正措置を命じたことを明らかにした。
ウェブドッシュのアナリストのダン・アイブスは19日のメモで、「これらの動きは、政府の規制強化が今後も続くことを示している」と述べ、米国のハイテク株が、来年にかけて中国での規制強化の恩恵を受けることになると予測した。「中国での規制強化を警戒する投資家の資金は、最終的には米国のハイテク分野に移転するだろう」と彼は述べた。
米国で上場する中国の大手98社で構成するナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は先週9%下落し、2月の史上最高値から51%も暴落している。