昨年、34回目の米フォーブス誌による世界ビリオネアリスト発表してから1年。2021年の世界ビリオネアリストでは、劇的な変化が読み取れる。
12カ月の間に世界各国から493人が新たに加わった。約17時間に1人のペースでビリオネアが誕生した計算になる。資産価格の上昇により、前回のリストから漏れた250人も再びランク入りした。世界的に経済が不安定ななかでも、死亡した以外で前年のリストから外れたのはわずか61人で、統計を取り始めてから最も低い脱落率だった。
最終的な試算によると現時点で世界のビリオネアの数は2755人で、前年の2095人から大幅に増加。ビリオネアの総資産額13兆1000億ドル(約1440兆円)は、1年前より5兆1000億ドル(約552兆円)も増えている。
パンデミックにより世界中が恐怖を覚え、気分も悪く悩まされている最中に、一部の人々の総資産額が5兆ドルも増加したのはなぜか。圧倒的な経済格差は、現代の社会秩序に対する最大の脅威となっている。しかし、リストの数字を上向かせている要因のひとつとして、楽観的な観測もある。ワクチンが世界中に拡散すると同時に、世界経済は再び勢いを取り戻す準備ができ始めたようだ。
2021年は、新たに加わったビリオネアが最も多かった。確かに、リストを一見すれば、(一部の富裕層への)怒りを覚えるかもしれない。しかし一方で、全員がさらに繁栄するためのロードマップも読み取れるのだ。
2002年までにリストにランク入りした自力で成功したビリオネアは、半数をやや上回る52%で、その内59%が米国人だった。それが10年前のリストでは、世界全体で69%に増加した。しかし、2021年は別格だ。リストに加わった493人の新入りの内、84%は資産の継承者でなく自力で成功し(内90%は米国人)で、ビリオネア全体の資産総額の72%を占める。いずれの数字も新記録だ。
新記録が乱立した一年
10年前は財を成して新たなビリオネアになるまでに平均で18年かかっていた。ところが2021年版に新たにランク入りした88人の米国人ビリオネアは平均13年と、さらに期間が短縮。一昔前は富を手にするのに、資金の確保が必要だった。いまは、コンセプトが良ければ資金が集まる。
富をつかむチャンスが増えることで、ビリオネアになる人々も多様化してきた。女性はいまも男性よりも投資を集めにくい状況にあるが、着実にランクアップして、世界のビリオネアの11%、米国人ビリオネアの12%、新ビリオネアの13%を占めた。すべて史上最高だ。すべてのビリオネアのなかで女性起業家が占める割合は4%に達し、5年前の2倍以上に増えた。