サム・バンクマン=フリード 年齢 29歳 総資産 87億ドル 順位 274位 アラメダ・リサーチ創業者兼CEO、FTX創業者
「どうすれば最善の効果が得られるかを常に考えている」と 29歳のビリオネア。彼は自らが稼いだ87億ドル(約9400億円)のほぼすべてを、社会のためにつぎ込むと誓った。
数十億ドル規模の寄付金を捻出する目的でビジネスを起こした人もいる。サム・バンクマン=フリード(29)はおそらく、世界で最も注目すべき新たなビリオネアだろう。2年前にバンクマン=フリードは暗号資産デリバティブ取引所のFTXを立ち上げ、20代のうちに87億ドル(約9400億円)を手にした。従来の慈善事業は企業活動の副産物だったが、彼は、慈善事業の副産物として企業活動を行った初のビリオネアと呼べるだろう。
金融の世界で巨万の富の源を築いた彼は、自分が社会のためになると判断したものに富のほぼすべてをつぎ込むと誓っている。彼の信念は「効果的な利他主義」と呼ぶもので、合理的な論理を適用して最もよい行いをしようと唱える。この10年ほどの間に生まれた概念だ。効果的な利他主義では、例えば1ドルあたり何人の命が救えるかというように、活動を数値化したり、マラリアの撲滅か悪意あるテクノロジーの排除か、どちらにより緊急性があるかを考えたりする。
バンクマン=フリードは、より不安定になる今後5年の内に、さらに活動規模の拡大が加速すると予想。近い将来にやって来る「異常な事態」に備えている。「異常な事態だと感じると、誰もが超消極的になってしまう傾向にある」と彼は話す。「そんなときこそ全部つぎ込むべきだ」
実際、いまこそ歴史上最も全部をつぎ込んで取り組むべき時期だ。1年前に想像していたよりも、さらに速いスピードで変化が迫っている。世界のビリオネアだけでなく、私たち全員が消極的になっている場合ではない。