日本の首都がさほどありがたくない金メダルを獲得したのは、建設マネジメント・コンサルティング会社、ターナー&タウンゼント(Turner & Townsend)が発表した、2021年度の建築費ランキング「国際建設市場調査」でのことだ。世界45カ国90市場の建設業界を対象としたこの調査によると、東京の1平方メートルあたりの建築コストは、平均4002ドルだった。
日本の首都が建築費のトップに立ったのは今回が初めてだ。東京のこの結果は、不動産およびインフラプロジェクトが大きく成長し、広範囲な商品供給ルートが資源需要を押し上げたことによる。
東京における建築プロジェクトのコスト増加は、五輪関連費用にも反映されている。2013年に東京が開催権を獲得した当初、その費用は73億ドルと見積もられていた。それがその後、新型コロナウイルスの影響で開催が延期される直前の2019年12月には、招致委員会によって126億ドルに上方修正された。
日本経済新聞と朝日新聞は、最終的なコストを280億ドル前後と推定している。東京五輪や国内の建設全般の事情を別としても、日本は世界3位の経済大国であり、1億2600万人の人口を抱え、高度な技術力で知られる。
ターナー&タウンゼントは、米国のテック大手を含むグローバル投資家が、日本の不動産に特に関心を持っていると指摘している。それは、消費者のEコマース利用が中国やヨーロッパに比べて遅れていることから、Eコマースが今後大きく成長する余地があるからだ。また、安定した電力網があり、アジアのハブに近接していることも好材料となっている。
なお、同社の世界建築費ランキングでは、香港が1平方メートルあたり平均3894ドルで2位、サンフランシスコが同3720ドルで3位に入っている。4位のニューヨークと合わせて、これらの市場はこれまでもランキングのトップ10位内に入っていた。
2021年の1平方メートルあたりの平均建築費(USドル)*
*4つの建物タイプの平均コストに基づく