「イエナカ需要」をどう取り込む? ホームパーティー市場トレンド

コロナ禍でのホームパーティー、鍵となるのは?(Shutterstock)


日常の食卓を非日常に変えるのがホームパーティーだという目線でこの事例を読み解くと、コロナ禍の非日常のいまだからこそ、この時期しか味わえない専用メニューの開発にチャレンジする機会だと捉え、「店で食べられないから仕方なく」という消極的な選択としてのテイクアウトではなく、能動的なテイクアウト需要を掘り起こすことができるのです。

イタリアンであれば、普段はマルゲリータに使う店自慢のモッツァレラチーズを入れ込んだ餃子、和食店であれば秘伝の出汁を引いたスープと自宅で茹でる麺をセットにしたラーメン、ホテルであれば朝食でしか出していないパンと名物ローストビーフでつくったサンドイッチなど。新規顧客だけではなく、既存客にとっても目新しく、かつ普段は店で出していないメニューのため味の落差が発生せず、期待を裏切ることがありません。

冷めても美味しく食べられることはもちろんですが、食材をロスがないように組み合わせることや、意外性がある「〇〇の専門店が手がける〇〇」のような見せ方にも気を遣います。さらに、どんなに専用メニューに人気が出ても、店内では出すのをやめようとシェフと固く誓い合って開発をしています。コロナ禍のテイクアウトでしか食べられない、非日常感が価値を生んでいるからです。

ワンランク上の「ごっこ体験」を


続いて、関連グッズについて。ホームパーティー商品の開発時にお勧めしているのが、少ない量で沢山の種類をちょこちょこ楽しめるアソート感のある商品に「ごっこ体験」を添えたものです。

ホームパーティーのスタイルのひとつにポットラック・スタイルという、持ち寄りで行う様式があります。皆で持ち寄った食べ物や飲み物をちょっとずつつまむのは、とても楽しいコミュニケーション創出の時間です。しかし沢山の人が集まるのが難しい状況がしばらくは続くので、そのような楽しみを少人数でも楽しめるように提供する商品が面白いのではないかと考えています。

強調したいのは、ホームパーティーは「お店ごっこを体験する場」という前提です。

バーテン
(Shutterstock)

ホームパーティーを行う際は、店員さん役になりきります。どんな「ごっこ」が楽しいのかという着眼点で、例えばお酒を売りたいのであればバーテンダーのごっこ体験をプラスして思考してみます。

人気のクラフトジンやラムなどをフルボトルよりも飲みきりやすい、ハーフボトルやミニボトルで何種類かセットし、割りものとしてこだわりのクラフトコーラや、店で出てくるようなナッツの小袋も用意してみましょう。

もし時短営業や休業を余儀なくされているバーとコラボレーションできれば、店で使われているグラスやマドラー、ロゴ入りのコースター、秘蔵のカクテルレシピ、マスターからのオンラインカクテルレクチャーのチケット封入があってもいいかもしれません。
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文=高橋ひでつう

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