チームを動かす名経営者たちの名言集 その2

どんな天才経営者であれ、一人の力で事業を成し遂げることはできない。
その理想やアイデアを実現していく協力者の存在が不可欠であり、それがチームとなる。
名経営者はチームを動かす名人でもあり、その手法は今でも応用できる。
組織を大切にすることで成功した経営者たちの組織論の神髄を振り返る。






Jack Welch ジャック・ウェルチ 元GE会長兼CEO
応用度★★★

ウェルチがCEOに就任したとき、GEには2 万5,000 人ものマネジャーがいた。そのうち、副社長以上の上級役員は130 人。ウェルチは、管理者が多すぎ、官僚主義がはびこっている現状を改善することなしに、GEの競争力強化は望めないと考えた。そもそもウェルチは「マネジャー」という語感が嫌いだった。「支配する、監視する、情報を与えない」といったイメージがまとわりつくからだ。そんなマネジャーでは、ウェルチが目指す「境界のない組織」など実現できるはずもない。
ウェルチは、自分と現場管理者との間にある階層を大幅に減らし、スリムで素早く動ける組織にしようとした。会社の階層が多いほど、肝心の決定が手遅れになる。





Tadashi Yanai 柳井 正 ファーストリテイリング会長兼社長
応用度★★★★

フリースブームでユニクロが全国区となった2002 年、柳井は社長の座を40 歳の玉塚元一(現ローソン社長)に譲っている。ブームのなかでは、棚に並べたそばから何の苦労もなく売れていく。柳井は社員の感覚がマヒすることを心配した。まだ53 歳と若かったが、異業種から迎えた人材が、安定・保守化してきた組織を壊すことを期待したのだ。
「要するにチームバランスです。現場には、叩き上げの人材も必要ですが、客観的に判断を下す異質の人材も必要です。そして、その関係こそが活力の源になるのです」
だが、新体制は長くは続かず、05 年に柳井は社長に復帰した。理由は、堅実で安定を求める玉塚のやり方に危機感を覚えたからだった。





Katsuaki Watanabe 渡辺捷昭 元トヨタ社長
応用度★★★★★

渡辺が広報課に所属していたとき、非公開だった東富士研究所をマスコミに披露したことがある。最初は企画段階で上司に「前例がない」とダメを出された。渡辺は諦めず、今度は役員に「技術の日産、販売のトヨタなんて言われて悔しくないですか」と直訴する。
上司が承認しなかった案件を、一社員が役員に直談判すること自体、ルール違反である。上司にケンカを売っているようなものだ。ところがトヨタでは、熱意を込め、理路整然と言い続けると「そこまで言うなら、やらせてやるか」と許されることがある。
トヨタでは、意見と意見がぶつかりあい、火花が散ることは珍しくない。だが、議論していくうちに、問題意識が共有され、部門間の垣根を超えてチームとしてベストの選択ができるようになる。
「私はこれを、仲良くケンカする、と呼んでいます。常務や専務が大部屋に集まって、常日頃から侃々諤々議論を展開するのです。チームワークで大切なのは、互いに言いたいことを言いあうことなのです」

桑原晃弥 = 文 北島英之 = 構成

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