テクノロジー

2021.07.19 07:30

大転換期の産業界 経済回復の鍵となる「ユニバーサルオートメーション」とは

産業界は経済回復の柱となる絶好の機会を得ている(Shutterstock)

産業界は経済回復の柱となる絶好の機会を得ている(Shutterstock)

産業界はいま大きな転換期を迎えていますが、立て直しに必要な行動とはどのようなものなのでしょうか。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。
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・産業セクターは、柔軟性に欠け、イノベーションよりもベンダーの囲い込みを優先する、閉鎖的な独自のシステムが主流となっています。
・真にオープンで相互運用可能な規格をオートメーションツールに適用しなければ、あらゆる面コストがかかるため、新型コロナウイルスのパンデミックからの復興を果たすためには、大胆な行動が必要です。
・変化は、世界的なコラボレーションによってのみ可能です。私たちは、産業界のエコシステム全体にユニバーサルオートメーションに向けた議論に参加するよう呼びかけています。

世界がパンデミック(世界的大流行)からの立て直しを図るなか、産業界は世界経済の回復の中心的な柱となる絶好の機会を得ています。その実現には何が必要なのでしょうか。

パンデミック以前から、産業生産性の伸びはわずか0.7%に留まるなど、悪い方向に向かっていました。世界的な景気後退のなか、第2四半期の世界の製造業の生産高は11.1%減少し、下半期になってようやくある程度回復しました。
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もし、私たちが新型コロナウイルス感染拡大による混乱から学んだことがあるとすれば、アジリティとレジリエンス(強靭性)が現代の産業に不可欠であるということです。効率性と持続可能性に真の変化をもたらすために、私たちはいま、大胆な行動を起こす必要があります。

真にオープンな規格で、コラボレーションを創出


産業セクターはいままさにディスラプション(創造的破壊)の時を迎えています。産業セクターは、柔軟性に欠け、イノベーションよりもベンダーの囲い込みを優先する、閉鎖的な独自のシステムが主流となっています。多くのオートメーションサプライヤーが表面的には「オープン」なテクノロジーを謳っていますが、現在のオープンオートメーションは必ずしもオープンとはいえません。

なぜなら、多くのサプライヤーは、あるベンダーのソフトウェアを別のベンダーのハードウェア上でも動作させることができる、ベンダーに依存しないシステムを採用していないためです。その結果、企業は本来支払う必要のないエンジニアリング費用を負担し、イノベーションの展開を遅らせることになります。これは、アジリティの低下やビジネス機会の損失につながります。

産業革命
パンデミック以前から、産業生産性の伸びは悪い方向に向かっていた(イメージ:UN Industrial Development Organization)

真にオープンで相互運用可能な規格をオートメーションツールに適用しないと、あらゆる面でコストがかかります。これは、至るところに存在する課題で、世界中で産業活動が阻まれています。この難局を突破することは、ベンダーからOEM(委託者のブランドで製品を製造する)メーカー、機械メーカー、システムインテグレーター、そして、エンドユーザーに至るまで、すべての関係者にとって重要です。今日の多くの最重要課題と同じように、最終的にそれを可能とするのはコラボレーションです。

閉鎖的システムの代償とは


閉鎖的な独自のシステムをベースにテクノロジーを構築し続けている限り、イノベーションは阻害され、システム、機械、人間による「チームワーク」がもたらす生産性が低下します。不必要に大規模な技術的努力、モジュール化(効率向上のための手法)の欠如、レジリエンスやイノベーションを阻害するようなことは許されません。
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文=Peter Herweck, Executive Vice-President and Chief Executive Officer, Industrial Automation, Schneider Electric; Francisco Betti, Head of Shaping the Future of Advanced Manufacturing and Production; ExCom Memb, World Economic Forum

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