技術的な障壁を取り除くことで、ユニバーサルオートメーションは、製造ラインや産業プロセスを、必要に応じてエンジニアがリモートで迅速に再プログラムすることを可能にします。変化する消費者の需要パターンに対応するには、このようなアジリティと生産性の向上が欠かせませんが、同時にパンデミックによる制約にも対応しなければなりません。
ユニバーサルオートメーションが実現すること
相互運用性と移植性の規格「IEC61499」を採用することで、現在、産業界が直面している多くの課題を軽減することができます。ベンダー間で共通の規格を採用することで、異なるハードウェアシステムやソフトウェアシステムの相互通信が可能となり、先端技術を活用できるようになります。
ユニバーサルオートメーションによって、オートメーションの導入に伴い発生する、多くの問題を解決します。また、リファクタリング(ソフトウェアの外部的振る舞いを保ちつつ、理解や修正が簡単になるように内部構造を改善すること)に余分な時間とリソースを費やすことなく、新たなテクノロジーの導入、アップグレード、統合することが可能です。堅牢なオートメーションインフラにネイティブに搭載されたサイバーセキュリティーが高いITアーキテクチャとテクノロジーを活用することで、メーカーは高度なデータ駆動型アプリケーションを容易に統合することができます。
さらに、相互運用可能なシステムは、メンテナンスや効率面でも大きな可能性を秘めています。単一でオープン、かつ多様なオートメーションシステムがあれば、メンテナンスエンジニアは不具合を迅速に発見・修正し、革新的なメンテナンス技術を取り入れて問題を回避することができます。これには、工場設備資産などが故障する前に修理するプロセスである改良保全や予知保全が含まれます。
この手のメンテナンスは、リスクを低減し、予定外のダウンタイムを最小限に抑え、多額の費用がかかるシステム障害に発展する前に小さな故障に対処することができます。実際に、予知保全を行うことで、予防保全との比較では約8〜12%、事後保全との比較では最大40%のコスト削減が可能になります。
これまでとは違う未来が、すぐ手の届くところまで来ています。ユニバーサルオートメーションは、生産ラインの自己構成能力や自己修復能力を備えたインテリジェントな自動オペレーションを実現することができるでしょう。
この新たな産業の生産性と効率性を実現するための最初のステップは、コラボレーションです。私たちは、産業界のエコシステム全体にユニバーサルオートメーションに向けた議論に参加するよう呼びかけています。有意義な変化を起こすには、信頼を築き、導入における障壁を取り除き、データを共有する新しい方法を見つけ、標準化されたアプローチを用いてイノベーションを続けなければなりません。
次世代の産業技術を共に発展させることにコミットしてこそ、未来の産業、人類、地球のために、より良い現実を共有することができるのです。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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