大転換期の産業界 経済回復の鍵となる「ユニバーサルオートメーション」とは

産業界は経済回復の柱となる絶好の機会を得ている(Shutterstock)


コミュニケーションがとれないチームは生産性を上げることができません。現在の閉鎖的なオートメーションシステムも、サードパーティのデバイスと統合や連携、アップグレードを簡単に行うことができないため、同じような問題に直面しています。

現在のパラダイムにおいて、産業界のビジネスと労働力は、閉鎖的な独自のシステムによって阻まれ続けており、最優先分野であるイノベーション、効率性、持続可能性、アジリティの妨げになっています。このままでは、世界経済の低迷に支えられて最適化されていない産業が残ってしまいます。

産業界の岐路にユニバーサルオートメーションの必要性


いままさに、転換期が訪れています。現在の産業オートメーションシステムのアーキテクチャは、産業界の発展に十分な役割を果たしてきましたが、第四次産業革命を完全な形で実現するためには、テクノロジーモデルを根本的に変えていく必要があります。

現在、私たちは、産業の持続可能性とオペレーションの環境効率を見直すために必要な計算能力とコネクティビティを備えています。環境保護のために残された時間が刻一刻と過ぎていくなかで、ソフトウェアを中心としたデータ駆動型のオートメーションを利用して有意義な変化をもたらすこの機会を見逃すわけにはいきません。

また、これまでとは違った方向に向かう将来には希望があります。アクセンチュアは、2030年までに、産業用IoT(IIoT)は世界経済に何兆ドルもの利益をもたらすだけでなく、世界中の製造業の生産性と効率を向上させる可能性があるとしています。世界経済フォーラムがボストン・コンサルティング・グループ(BCG)と共同で発表したレポートによると、製造業者の72%がアドバンスドアナリティクス(高度なデータ分析)の重要性が増しているととらえており、80%がデジタル化とデータに基づく洞察によって生産性の向上が達成できると考えています。

IT産業が、オープンなオペレーションプラットフォームの利点を採用しました。今度は、産業界が後に続く番です。ユニバーサルオートメーション(オープンでソフトウェア中心の産業システム)とは、「プラグアンドプロデュース」のオートメーションソフトウェアコンポーネントの世界のことで、顧客の特定の問題を証明された方法で解決するものです。

これは、産業用オートメーションのアプリストアの始まりと考えられます。そして、実現する技術はすでに存在しています。オープンソースのオペレーティングシステムであるLinuxは、コンピュータのオペレーティングシステムの標準化に貢献しました。同じように、産業界でも異なるベンダー間で使用できる、標準化されたオートメーションレイヤーの構築するために、相互運用性と移植性の規格である「IEC61499」を使用することができるようになります。
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文=Peter Herweck, Executive Vice-President and Chief Executive Officer, Industrial Automation, Schneider Electric; Francisco Betti, Head of Shaping the Future of Advanced Manufacturing and Production; ExCom Memb, World Economic Forum

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