調査はコミュニケーションサービス企業エデルマンが実施。今年4月30日から5月11日にかけて、日本を含む14カ国の1万6800人以上を対象に行い、その結果を報告書「トラスト・バロメーター」にまとめた。
企業の成功に最も重要な人々は従業員だと答えた人は約40%に上ったのに対し、最も重要なのは株主だとしたのはわずか12%だった。ただ、デラウェア大学ワインバーグ企業統治センターのローラ・フィールド臨時所長は、従業員を大切にすれば最終的には株主の利益につながると指摘している。
フィールドによると、従業員のニーズが満たされれば企業の収益性が向上することが、複数の調査から示されている。例えば2019年のギャラップの調査では、従業員のエンゲージメントが高い企業は収益性が21%高いとの結果が出ている。
従業員は企業に対し、選挙権や賃金の適正化まで、さまざまな問題についての支援を公に行うよう求めるようになっており、企業がどう対応するかによって、さまざまな影響が生まれる。従業員の80%近くは雇用主に対し、ワクチン普及や気候変動、誤情報の拡散、人種差別、人材の再訓練といった問題に取り組んでほしいと期待している。
コーポレートガバナンス(企業統治)コンサルティング企業バリューエッジ・アドバイザーズのネル・ミノー副会長は「ベビーブーム世代からX世代にかけてよりも、ミレニアル世代やZ世代の方が、環境問題や社会問題、コーポレートガバナンスを大きく重視している」と説明。「現在の新卒の中から優秀な人材を獲得したければ、企業は口先だけでなく行動しなければいけない」と指摘した。
若者世代はまた、企業のCEOが政府に対して責任を追求する立場にあると考えている。調査回答者の60%以上が、差別的な法律をCEOが批判するのは適切だと回答した。