FINRAはロビンフッドに対して、罰金5700万ドル(約63億円)を科したほか、同社の行為によって「著しい損害を被った」大勢の顧客への賠償金1260万ドル(約14億円)の支払いを命じた。FINRAによる金銭的なペナルティーとしては過去最大だという。
和解の一環でロビンフッドは、同社からの「不正確で誤解を招きやすい情報」によって顧客側が失った700万ドル(約7億8000万円)超を返還する。そうした情報には、昨年6月に20歳の顧客の自殺につながった、資金残高がマイナスになっているという誤った表示も含まれる。
FINRAは、ロビンフッドが2018年1月から今年2月まで、顧客の注文を受け付けて実行する証券取引システムの管理を怠った結果、一連の「重大な」障害を招き、過去に例がないほど市場が乱高下した時期に、顧客がアカウントにアクセスできない状態にしたことも認定した。
ロビンフッドは昨年12月、米証券取引委員会(SEC)との間でも6500万ドル(約72億円)の支払いによって和解している。FINRAによれば、今回の和解によって、同社が顧客のアカウントを承認する際に精査を怠った点なども含め、複数の問題が決着することになった。
ロビンフッドの広報担当者はフォーブスの取材に、同社は「この問題に区切りをつけることができ、うれしく思っている」と述べるとともに、プラットフォームの安定性向上や教育リソースの拡充、顧客サポートや法務、コンプライアンスに携わるチームの増強に大きな投資をしているとも強調した。
約1300万人の顧客をもつロビンフッドはこの1年、規制当局から自社のビジネスモデルの重要な部分をやり玉に挙げられ、4月にはマサチューセッツ州の証券監督当局からも、立場の弱い投資家を保護していないなどとして免許取り消しを求める訴えを起こされている。
ロビンフッドは3月のIPO申請時には6月中に上場したい意向だったが、ブルームバーグの報道によると、SEC側とのやりとりのため計画は数週間にわたって遅滞しているという。SECはロビンフッドの仮想通貨(暗号資産)取引事業について聞き取りを行っているとされる。