「香港が果たす役割は今後さらに大きくなるだろう」とGGV Capitalでマネージングパートナーを務めるJixun Fooは話す。Fooは、フォーブスが優れた実績を持つベンチャーキャピタリストを選出する「ミダスリスト(The Midas list)」の2021年版で56位にランクインした。同社からは、他にもHans Tung(3位)、Jenny Lee(33位)、Glenn Solomon(79位)らが選出されている。
現在53歳のFooはヒューレット・パッカード出身で、20年以上前にVC業界に転身した。以来、中国の資本市場は大きな変化を遂げたという。彼は、シンガポールの政府機関である国家科学技術庁の投資担当重役を経て、Draper Fisher Jurvetson ePlanet Venturesに転職し、中国の検索エンジン大手バイドゥ(百度)への投資で成功を収めた後、2006年にGGVに参画した。現在、GGVの運用資産は92億ドル(約1兆円)に達する。
「ベンチャーキャピタリストとして学んだことは、世界は常に変化しているということだ。現在は地政学的な緊張が高まり、投資やエグジットの先行きが不透明になっているが、今後は変化が起きてチャンスが訪れると信じている」と彼は述べた。
Fooは、運輸業界における新たな成功モデルに投資して成功を収め、ミダスリストに選出された。投資先の1つであるEV(電気自動車)メーカーのシャオペン(XPeng)は、昨年米国で上場した。公開価格は15ドルだったが、現在の株価は約44ドルだ。
Fooは、今後デジタルトランスフォーメーションがより広い分野に普及し、運輸業界や他のセクターにチャンスが生まれると考えている。「デジタル化の流れは企業やロボットの分野でも加速するだろう」と彼は話す。
Fooによると、車もロボットに含まれるという。「車もドローンもロボットの1つだ。デジタル化はAI(人工知能)の成長を促進する。我々が目撃しているのは、デジタル化の始まりに過ぎない」とFooは言う。
GGVが出資する「トラック版ウーバー」と呼ばれる満幇(マンバン)も、デジタル化によって生まれた企業の1つだ。同社は、近く米国で上場する予定だ。情報のデジタル化とAIは、リクルーティングのような伝統産業にも変革をもたらしている。GGVの出資先である求人サイト「BOSS直聘(BOSS Zhipin)」の実質的な持ち株会社である「Kanzhun Limited」は、先日ナスダック市場に上場した。同社は、求職者とリクルーターをマッチングするサービスを提供している。