フェニックスを拠点とするニコラは、現金および株式と引き換えに、インディアナ州ウエストテレホートの施設の20%の株式を取得すると6月22日午後に発表した。このプロジェクトは、石油コークス、木材、トウモロコシのサイレージなどの固形廃棄物から水素を分離し、ニコラ大型車の燃料や発電に使用するとともに、その過程で排出される二酸化炭素を回収し埋設することを目的としている。
ワバッシュ社によると、この工場が操業を開始すれば、米国内でも最大級の炭素隔離プロジェクトになるという。
来年には建設が開始され、施設では1日あたり最大336トンの水素を生産することができ、これは約285メガワットの電力を生み出すのに十分な量だという。ニコラは、米国中西部に建設を予定している燃料ステーション用に、1日あたり約50トンの水素ハブを利用可能になる。
「このプロジェクトは、商業輸送にとって重要な地域で、クリーンで低コストの水素を生産することを目的としている。ワバッシュ社のソリューションは、水素燃料だけでなく、電気も生成することができ、地域における水素ステーションの展開をサポートする柔軟性を備えている」と、ニコラのエネルギー・商業部門のプレジデントのPablo Kozinerは述べた。
水素供給拠点の確保は、ニコラが当初注力していた米国南西部での輸送基盤の拡大につながる。同社は、太陽光発電や水などの資源から再生可能な水素を製造する計画を発表していた。
「グリーン水素」で物流のEV化促進
新たな「グリーン水素」は、2023年に燃料電池車の生産を開始した際に、アリゾナ州とカリフォルニア州に設置する最初の燃料ステーションに供給される予定だ。また、今年4月にニコラは、商用車メーカーのイベコや、天然ガス販売会社のOGEと共同で、欧州における燃料電池大型トラック用の水素パイプラインを計画していると発表した。
ニコラの大型車用の燃料電池の構想は、過去2年間にダイムラー、ボルボグループ、トヨタ、日野、現代、カミンズ、ゼネラルモーターズ、ナビスターなどの大手企業が競ってこの分野への参入を宣言したことで、飛躍的に拡大した。背景には、300マイルまでの短距離走行ではバッテリーが有効な選択肢である一方、長距離走行や高速給油では水素の方が魅力的であるというコンセンサスが高まっていることが挙げられる。
ワバッシュ社の取締役会長のサイモン・グリーンシールズは、「インディアナ州の水素工場は、水素をタービンで燃焼させてクリーンなベースロード電力を生産するマルチプロダクト施設となる予定だ。ニコラ社と協力して、中西部にゼロエミッションの輸送ソリューションを提供できることを楽しみにしている」と述べている。
ニコラは、アリゾナ州とドイツで燃料電池トラック「トレ(Tres)」の試作車のテストを開始しており、今年後半から、1回の充電で最大300マイルの走行が可能なバッテリー駆動のトレを販売する予定だ。水素を燃料とするトレの量産は2023年に始動する。
ニコラの株価は6月22日のナスダック市場で7.3%上昇し、17.32ドルで取引を終えた。