ハリントンはまた、ティファニーのブランド価値の中でも「色」を変えたことは、感情的に最も大きな反応を得ることを目指したものだと指摘する。
「衝撃値を高めたいとき、多くの場合において、最も劇的な反応を得るためのトリガーとなるのは色です。変えたのがフォントだったら、誰がそれに気づいたでしょうか」
ただ、米コンサルタント会社ミーニング.グローバル(Meaning.Global)の創業者、マルティナ・オルバートは、マクドナルドの「ゴールデンアーチ」やコカ・コーラのボトルと同じように特徴的な「ティファニーブルー」について、その重要かつ象徴的な要素を、たとえ比ゆ的にでも「捨てる」ことには、注意すべき点があると警告する。
「シグネチャーのブルーはティファニーの伝統、そしてブランド価値の一部です。それをなくせば、ティファニーは自らの価値の多くを失うことになるでしょう」
また、西洋においては非常に効果的と考えられる「ティファニーイエロー」は、東洋、特に中国では、前向きな効果を期待できない可能性もあるという。中国では伝統的に、黄色は皇帝だけに使うことが許された色だった。また、現在ではポルノを意味する色でもある。オルバートは、「イエローを選ぶことは、長期的に見たブランド構築において、適切とはいえない」との見方を示している。
ただ、それでもこの新たな戦略は、ティファニーがLVMH傘下のブランドとなったこと、そしてティファニーには、その「象徴的なブルー以上の価値」があることを、明確に打ち出したものだといえる。