まだ発展途上。Jリーグが全力で挑む「統一フォント」の全貌

セリエAが7月15日、フィールドプレーヤーの緑色ユニフォームの着用を2022-23シーズンから禁止すると発表した。ピッチの色との「見えにくさ」の解消、つまり「視認性」が理由のようだ。
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Jリーグではこの「視認性」という課題に対応すべく、2021シーズンから「Jリーグオフィシャルネーム&ナンバー」を導入した。ユニフォームの背番号と選手名に全クラブ共通のオリジナルフォント「J.LEAGUE KICK(Jリーグ キック)」の使用が義務付けられることとなった。

コストのみならず、多大な労力そしてリスクを冒してまで導入に至った経緯や目的については『Jリーグの統一フォント導入から考える「スポーツxSDGs」』でお伝えしたが、今回はJリーグがいかに視認性の向上に取り組んだかに迫ってみたいと思う。

北欧のデザインファームの案を採用


視認性という気づきを起点に様々なリサーチを経て、まずは「世界最高水準のネーム&ナンバーをつくる」ための3つの柱を掲げた。
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1. 誰もが公平に情報を認知できる観戦・視聴環境の構築推進
選手・審判・メディア担当のみならず、視力や色覚に特性を持った観戦者の方々にも適切な環境を提供する

2. 世界基準のレギュレーションへ準拠し、様々な大会で使用できる汎用性を獲得
Jリーグのクラブが国内FA大会・アジア・世界大会への参加する際にもそのまま使用できる汎用性を提供

3. 世界最高水準のデザイン品質で新たなJリーグブランドの構築に寄与
世界最高水準のタイプフェイス(フォント)デザイナーの起用/デザインのプロフェッショナルとの共同検討・審査を実施

これらの目標を具現化するために、北欧のデザインファーム、Kontrapunkt(コントラプンクト)社の案を採用。



サッカーのカーブキックをモチーフにデザインされた「J.LEAGUE KICK」には、あえて文字のシルエットを画一的にせず1つ1つに人間味や個性を持たせたり、文字の端をなるべくオープンにすることで密度を緩和するなど、視認性を高めるための工夫が凝らされた。

このように、サッカーらしいアイデンティティを尊重しながらも、機能性と美しさを共存させるフォントが誕生した。ただ見やすさだけを追求するのではなく、海外でサッカーを見る人もこのフォントを目にすればJリーグを連想できるような、日本サッカーの新たなアイコンとなることを目指した。
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文=中澤薫 編集=宇藤智子 写真・資料=(c) J.LEAGUE

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