コロナ禍で安らぎを求めている? 米国で「甘口のワイン」が躍進

Getty Images

あなたは、初めて飲んだワインの味を覚えているだろうか? ドライ(辛口)、セミスイート(中甘口)、スイート(甘口)のどれだっただろう?

初めて飲んだワインが甘口に近い人は、米E.&J.ガロ・ワイナリーが実施した新たなワイン消費者調査の結果とマッチしているかもしれない。同社の調査結果からは、新たにワインを飲むようになった消費者の3人に1人がスイートワインを通してワインを飲み始めることが示されていた。さらに驚きなのは、新型コロナウイルス感染症が流行を始めてからそのワインの売り上げが40.1%増加したことだ。

同調査は米市場調査会社IRIの2020年1月から2021年3月までの売り上げデータを使ったもので、米国の約4万世帯のパネルデータが含まれていた。

IRIの定義によると、スイートワインのカテゴリーには、甘口として分類・販売されているモスカートやリースリング、ゲヴュルツトラミネールなどのブドウの品種から作られた、無発泡・発泡性のワインが含まれる。サングリアや果実風味のワインなども含まれるが、商品説明に中甘口と表記されているものや伝統的なデザートワイン、ノンアルコールワインは含まれない。

「ベアフット(Barefoot)」や「Stella Rosa」などのブランドが展開する“果実風味のワイン”はさらに人気だ。同調査によると、果実風味のワインの売り上げはパンデミック中に63%近く成長した。



スイートワイン躍進の要因とは


E.&J.ガロ・ワイナリーのマーケティング担当副社長アナ・ベルは取材に対し、同ワインカテゴリーの成長の主な要因は次の3つの可能性があると述べている。

1. コンフォートフード/ワインの人気

「新型コロナウイルスの流行が始まってからスイートワインの売り上げがこれほど伸びた理由には、多くのものがあると当社は考えている。私たちが立てた仮説の1つは、人々がコンフォート(安らぎ)を求めていたことだ。多くの人がパンやクッキー作りを始めたように、ワインに関しては甘口が手を出しやすく、飲みやすい。これらのワインは自宅でリラックスしながら飲むのにぴったりだ」(ベル)

2. 味覚の変化

「もう一つ可能性として考えられるのは、メキシコ系やアジア系の食べ物の人気が高まり、人々は安心できる範囲を超えて新たな食文化を試すのに前向きであること。スイートワインは、特に香辛料の効いた食事と非常にうまく合う」(ベル)
次ページ > 甘口ワインの何が悪いのか?

翻訳・編集=出田静

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事