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2021.06.11 11:00

多様なクライアントニーズを解決するのは、多彩なプロフェッショナルたち──インダストリーXには英知が集う

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アクセンチュアのインダストリーXグループ。

製造業をはじめとする様々な産業のデジタル変革を推進する組織に、クライアントから幅広いリクエストが寄せられる。

エクスペリエンス、つまりは新しい体験価値を伴った製品開発を支援することはもちろんのこと、多様化する顧客ニーズに答えなければいけない時代に柔軟で効率化されたサプライチェーンの仕組みをデジタル技術で実現させることにも応える。

それだけではない。

例えばスーパーやコンビニで見かけるようになった無人レジ。消費者が自分で商品バーコードを読ませ電子マネーやクレジットカードなどで決済する。このように、非製造業が新しいサービスを作るときにはIoTや5Gなどのデジタル技術を使った製品の調整が必要になる。

だからこそ、製造業にもデジタル技術にも強いインダストリーXへの依頼が増えてきているのだ。

しかし、全ての業界と全てのデジタル技術に精通しているスーパーマンなどはいるはずがない。多種多様なリクエストに応えることは不可能なはずでありながら、インダストリーXは応え続けている。

インダストリーXとは、どのような組織なのだろうか。

日本のインダストリーXを統括する丹羽雅彦と、2020年にマネジャーとして入社した澁谷美紀に話を聞いた。

インダストリーXの、“X”が意味すること


社歴21年の丹羽。アクセンチュアを最も知り尽くしている人物のひとりである。丹羽は日本の電機メーカーでセールス兼システムエンジニアとして8年の経験を積んだ後、アクセンチュアに入社した。子供の頃からものづくりが好きで、ずっと理系の道を歩んできた。

そんな丹羽はなぜコンサルタントへの転身を選んだのか。

「日本の製造業は大好きです。だからこそ真逆の角度から製造業を見てみたいと思うようになりました。ものではなくサービスを提供する側から、日本ではなくグローバル側から、エンジニアリングだけではなくビジネス側から」。

全く違う世界から製造業を見たいと望んでいた丹羽は1999年、アクセンチュアと出会うことになる。

丹羽は入社後、主に電機メーカー関連のサプライチェーンを担当するコンサルタントとして活躍する。「調達関係では、専門家として共同で本を書いたこともあります」と語る丹羽は順調に昇進を重ねた。

しかし、大きな転機が突如訪れる。専門外の組込みソフトウェアのプロジェクト、これに関わったことが丹羽の職業人生を変えることになった。

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スマートフォン全盛前夜。「開発サポート」から「活用する」ことへ潮流が変わるタイミングで実績を残し続けていた丹羽は、モビリティと呼ばれるモバイル関連を担当するグループ(当時)を統括することになる。以降、流れの激しいDX時代の最先端で統括としての経験を重ね、現在のインダストリーXを率いている。

ここで確認したいことがある。インダストリー3.0、4.0などは聞いたことがあるが、「X」とは何を意味しているのだろうか。なぜ「X」と名付けたのだろうか。問うたところ、複数の想いが込められているという。

例えば、Web2.0や3.0のような産業の進化を表すのはもちろんのこと、アクセンチュアであれば、製造・物流の改革やエンジニアリングの効率化、市場投入までのリードタイム短縮など、様々なソリューションを提供することができる。クライアントの課題にアクセンチュアのソリューションを『X(クロス)』することで新しい価値を生み出すことができる。

そしてどうやら「X(クロス)」の想いは、社外だけでなくインダストリーXのメンバーへのメッセージでもあるようだ。

「今、私の中で最もこだわっていることがあります。それは人材が多様化してきた中でどう個を活かすマネジメントするか」。大好きな製造業を外から見てみたいと真逆の世界に飛び出してきた丹羽だからこそ感じているのかもしれない。

人の価値観は違う。大切なのはメンバー同士の価値観の違いを尊重し、お互いの力を掛け合わせることだと。人材が多様化してきたからこそ、一層価値観が個々によって違うことを認識して欲しい。

そうすれば「X」、掛け算の理論でチームはより強くなると丹羽は考えているのではないだろうか。

価値提供のため──職歴も社歴も関係ない、全てを開示し手を取り合う


マネジャー、澁谷美紀。学生時代からパソコンが好きで就職先は世界的な電機メーカー。1998年に入社し、主力商品のマーケティング、商品企画に従事。その後、新規事業開発担当に抜擢されたことで、大きな転機が訪れる。

新しい事業の柱となる複数のビジネス立ち上げに挑戦し、短期間でグローバル市場導入と売上・販路拡大を達成。この実績により社内表彰を受け第一人者として認知される。その後もビジネスプロデューサーとして国内外でビジネスを次々と立ち上げ、実績を積み上げていく。このまま順調に進んでいくのであろうと、周囲は思っていたかもしれない。

しかし2020年、澁谷はアクセンチュアへ。日本国内だけでなく世界中が知るメーカーで活躍した澁谷である。国内外の事業会社やコンサルティング企業など多くの会社から常にオファーがあった。そんな中で、なぜアクセンチュアなのか。

「事業立ち上げの最前線で長年培った経験とスキルをレバレッジさせたくて。前職では米シリコンバレーで働いたことがありますが、そのときに感じたのが、ものづくりへの危機感。もっと日本のものづくりを強くしたいという気持ちが湧いてきていたのです。だからこそ、戦略の立案だけでなく現場にも携われるアクセンチュアを選んだのです」

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現場に携わるとはどういうことか。

「一般的なコンサルタントだと、お客様の役員に対して戦略方針の変更などの大きな提案だけをするイメージがあります。しかし、アクセンチュアであればお客様である企業に転職した社員として入っていく感じで、身内として扱ってくださる雰囲気があり、“疑似転職ができる”。そこが入社の決め手でした」

担当企業は事業会社である。コンサルタントとしてのバリューだけでなく、実務のOJTや他部署への調整など、事業会社で長年経験を積んできたからこその知見も提供でき、今ではプライベートの相談を受けるほど良い関係を築いているという。

では、アクセンチュアにとってNew Joinerの澁谷をインダストリーXのメンバーは、どう迎えたのだろうか。

「最初は驚きました」

澁谷はそう言った。役割やミッションが明確な、いわゆるジョブ型に近しい働き方が浸透しているからだろうか。チームメンバーは初日から何もためらうことなく澁谷とプロジェクトを開始した。

澁谷は「お客様に価値を提供したいという一心で全員が動いている、それがアクセンチュアだと感じた」と述べる。

印象的なエピソードがある。澁谷が初めて携わる業界のプロジェクトに入ったときに他のメンバーはどうしたか。

先に入っていたメンバーは、それまで蓄積してきた知見や情報を全て澁谷に開示し、毎日数時間も質疑応答の時間をとってくれたという。

「外資系コンサルティングファームは完全な実力主義、個人商店でお互い争うのでないか」、そんな澁谷の不安は一瞬で吹き飛んだ。

メンバーのチームワークだけではない。アクセンチュアはプロジェクト数が多いため、業界や専門性の選択肢も幅広い。

「本人の合意なしにアサインせずという風土があり、無料で受講できるハイクオリティの研修も多く、こんなにチャンスが多い環境があるなんて信じられなかった」と入社して驚いたという。

実は澁谷は学生時代、バレーボールのナショナルチームに選抜されていた。怪我に泣かされオリンピックの夢は叶わなかったものの、その経験から「良い環境に身を置くことで自分が成長していくことを学んだ」と語る。

澁谷は前向きに成長を目指して努力を継続すれば、チャンスの多いアクセンチュアで必ず誰もが成長し続けられると確信している。

「何かを変えたい」。その想いがインダストリーXのDNAとなっていく


改めて、丹羽に聞いてみた。「インダストリーXの日本統括としてどんな方を歓迎するか」と。答えはシンプルであった。

「何か変えたいと思っている方です。社会でも、生活のことや自分のことでも、キャリアを変えてみたいなど、なんでも良い。スタートアップ企業やイノベーションは理不尽や不条理を変えたい気持ちから生まれるといいます。だから何か変えてみたい方は大歓迎です。

アクセンチュアには何かやりたいときのプラットフォームも、ナレッジも、なんでも揃っていますし、自分の希望を強く持っていれば、叶いやすい環境だと思います」

そんな丹羽が新たに目指したいことができた。デジタルによるアナログ価値の復権だ。

たとえば音楽の世界ではレコードやカセットテープなどアナログ技術が全盛を誇っていた時代は過ぎ去り、いつしかゼロとイチで表せるデジタル技術、CDやMDに置き換えられ、さらにいまや配信によってハードさえもない世界になった。しかし、ここにきてレコードやカセットテープが再度注目を集めてきている。

「使えば使うほど良さがでてくる道具ってありますよね。かつての日本の製造業は優しさや風味、ものから感じ取れる手触り感や空気感を醸し出すことが得意でした。アナログの時代には体験価値を提供できていたのです。しかし、デジタルの時代に機能競争の波にのまれて、それらが置き去りになっていきました。デジタルでなんでもできるからこそ、何を追求するべきかを迷ったのではないか」

丹羽はそう指摘する。レコードをジャケットから出し、ターンテーブルに置いて、そっと針を落とす。五感で楽しめる、ワクワクしたあの世界。アナログとデジタルの戦いではない。デジタルでできることがたくさんあるからこそ、あの肌触りを、アナログ体験をもう一度“デジタルで”実現したい。

そんな日本のものづくりの原点を見つめなおすのも、インダストリーXのミッションではないのかと丹羽は考える。アナログの良さを求めるためにアナログへ回帰する。

ものづくりの概念を変えたい。そんな想いがあるのかもしれない。

「何かを変えたい」。それがインダストリーXのDNAとなっていくのだろう。

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