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2021.06.10 07:00

米超富裕層、「真の税率」はわずか3.4% 調査報道で判明

Jonathan Newton / The Washington Post via Getty Images

米調査報道機関のプロパブリカは8日、米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾスら、米国の資産家の15年以上にわたる納税記録を入手して分析した結果、最上位の富裕層が連邦所得税をごくわずか、ときにはまったく払っていないことがわかったと報じた。

プロパブリカによると、米国の平均的世帯は年に7万ドル(約770万円)ほどの所得があり、14%の連邦所得税を支払っている。だが、米国の富豪上位25人は2014〜18年に保有資産額が4010億ドル(約44兆円)増えたのに対し、「真の税率」はわずか3.4%にとどまっていた。

真の税率というのは、フォーブスのデータを基に、当該期間の富の増加に対する税の支払額の比率を算出したもの。米国の現行税法では課税されない、未実現の譲渡益(キャピタルゲイン)も考慮した税率ということになる。

ベゾスは2014〜18年に富が990億ドル(約11兆円)も増え、真の税率はわずか0.98%だった。ベゾスがこの期間に申告した所得は42億2000万ドル(約4620億円)にとどまっている。

プロパブリカによると、ベゾスは2007年には富が38億ドル(約4200億円)増えたにもかかわらず、4600万ドル(約50億円)の所得を投資の損失や負債による控除などで相殺できたため、所得税は支払っていなかった。

富裕層への増税を支持していることでも知られる投資家のウォーレン・バフェットは、2014〜18年に富が240億ドル(約2兆6000億円)あまり増え、真の税率は0.10%だった。

真の税率がきわめて低いのは、バフェットはこの期間に慈善活動に大きな寄付をしている一方、申告した所得は1億2500万ドル(約137億円)にとどまり、しかもその大半を税率の低いキャピタルゲインが占めているからだ。

米テスラ創業者のイーロン・マスクは、2014〜18年に富が139億ドル(約1兆5200億円)膨らんだのに対し、所得申告額は15億2000万ドル(約1660億円)、真の税率は3.27%だった。プロパブリカによるとマスクも2018年には所得税の支払額がゼロだった。

米国では富の不平等や超富裕層による税逃れが大きな政治問題に浮上している。3月に発表された研究によると、米国で所得上位1%の人は年間1750億ドル(約19兆円)の徴税漏れをもたらしており、所得の2割について税金を支払っていないと推定されている。

編集=江戸伸禎

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