シーインはその噂を否定しているものの、中国の投資コミュニティーでは同社が年内にも、ファッション・フリマアプリのポッシュマーク(Poshmark)やシューズ・ブランドのドクターマーチン(Dr.Martens)、衣料品リセールのスレッドアップ(ThredUp)の仲間に加わるのではないかとの見方が広まっている。
シーインの売上高は2020年、100億ドル(約1兆900億円)近くに達したと推測される。また、評価額も年を追うごとに、大幅に上昇してきたとみられている。
同社の評価額は2019年1月、ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタル・チャイナとタイガー・グローバルから5億ドルを調達したときには50億ドル、翌2020年8月に新たに調達を行ったときには150億ドルだったとされている。そして現在は、その3倍以上ともいわれている。
アプリ分析サービスのApp Annie、SensorTowerによると、人気上昇が続く同社は米国で5月、iOSでもアンドロイドでも、最もダウンロードされたショッピングアプリとなった。App Annieのデータによれば、同月のダウンロード数は、iOSでは54カ国、アンドロイドでは13カ国でトップとなっている。
中国を拠点に米国市場で成長
2008年に創業、江蘇省南京を拠点とする同社は、ターゲット層をZ世代に絞っている。インスタグラムやTikTokのインフルエンサーを通じて若者たちを引き付け、低価格の衣料品に大量に割引コードを提供するほか、毎週大量に新商品を発売することで、高い人気を得ている。
欧州、中東、オーストラリア、米国それぞれの市場に特化したウェブサイトを作成。220カ国に商品を出荷しているシーインにとって、最大の市場は米国だ。
同社は広東省佛山市にある倉庫からカリフォルニア州ロサンゼルス近郊の倉庫に向け、米国市場向けの商品を出荷している。フルフィルメント(受注から配送までの業務)に10日以上かかる場合もあるが、それでも手ごろな価格は、忠実な顧客ベースの確保につながっている。