「Funds」の特徴は、個人が1円単位で投資でき、利回り1〜3%台が中心の予定利回り型の金融商品で、安定的に資産形成していきたい層に寄り添う点だ。さらに、優待券など特典も充実し、個人投資家と企業の相互理解を深める「FinCommunity Marketing」という取り組みも行う。19年1月のサービス開始以降、上場企業を中心に21社が組成する約50のファンドを募集。個人投資家数も2万7000人を超えている。
そのファンズに19年8月のシリーズBラウンドで投資をしたのが、立岡恵介がゼネラルパートナーを務めるグローバル・ブレインだ。なぜ、立岡は、ファンズに投資をしたのか。
立岡:藤田さん、柴田さん率いるファンズに投資をした理由は、「2人の経営者チーム」。藤田さんは、融資型クラウドファンディングサービスの立ち上げを黎明期からされ、知見や経験、ネットワークが豊富。慎重に丁寧な仕事をする、金融業をやるうえで必要な信頼を得られる経営者。柴田さんは店舗集客サービス「スマポ」などを手がけ、イグジット経験をもつ連続起業家。消費者の心をつかむプロダクト設計などがとてもうまい。
この2人のチームは絶対に成功するだろうと思っているなか、貸付投資という資産運用の新しいマーケットづくりに挑んでいる。日本には、個人向け社債市場は1兆円程度しかない。個人向け社債を発行するためには投資適格という格付けを保有する必要があり、上場企業であっても個人向けに社債を発行できる企業は一握り。社債のように、安定的に資産を守りながら資産形成できる資産運用手法が個人のなかでも広まることが日本において必要だと思っている。
その市場を、社債ではないかたちで、証券会社ではなく、スタートアップが立ち上げる。優れた起業家チームが、すごい大きなチャレンジをしている。
藤田:立岡さんに出資のお願いをした時期は、「Funds」立ち上げ直後で、トラクションもそこまでなかった。だから、資金調達は苦労しました。金融業界の新市場を、非金融出身の2人が挑戦しているので、否定されるケースが多かった。散々否定されたなかで、立岡さんは最初から一貫して、我々を信じてくれて、早々に投資を決めてくれた。
柴田:日本を代表する独立系VCで、かつ、資産運用領域にも複数社投資をされているなかで、我々の事業への解像度が高く、かつ、挑戦している領域の可能性にかけてくれたことは大きかった。現在、次のラウンドの資金調達に動いているが、すぐに投資の意思表示をしてくれた。起業家側からするとこんなに安心することはない。立岡さんはすごく起業家精神をもっているなと。