調査会社グローバルインフォメーションでは、2020年から25年までの世界AGV市場規模が年平均成長率(CAGR)9.3%で推移すると予測。自動車やヘルスケア、食品・飲料など、各種業界で自動化の流れが加速する見込みだ。
小規模ながら独自の戦略で存在感を発揮しているAGVメーカーが、「SMALL GIANTS AWARD 2019-2020」でパイオニア賞を受賞した石川県のシコウだ。競合メーカーの多くが汎用のAGVを拡販する戦略なのに対して、シコウでは、顧客のニーズに応じたオーダーメイドの製品開発に特化。大手メーカーでも困難な開発案件を一手に引き受けて、設計・板金・電装・プログラミングといった製造工程を一貫して展開し、“オンリーワン”のものづくりに挑戦している。
同社は現在、新たな挑戦として映像解析システムを活用したAGVを開発中だ。従来は地面に埋め込んだ磁気テープをAGVがセンサーで読み取ることで、あらかじめ設定したルートを自動走行する仕組みだが、映像解析システムでは、機体に搭載したカメラから位置情報や障害物を読み取る。磁気テープが不要となり、走行の自由度が高まるわけだ。
代表取締役社長の北村敏春は、「特に食品業界など、地面に水が流れたりする現場では磁気テープが設置しにくいという事情があった。一方、こうした業界からのAGVへの要請は高まっており、商機は大きい」と意気込む。
大手メーカーでは、すでに映像解析システム搭載のAGVが販売されているが、いずれも汎用機であり、顧客の細かな要望に応えることが難しい。オーダーメイドを強みとするシコウの勝算は十分にありそうだ。
きたむら・としはる◎1952年、石川県金沢市出身。主にIT業界でシステムエンジニアとして従事。金沢のIT企業であるトピアシステムを経て、2016年10月より現職。「SMALL GIANTS AWARD 2020-2021」ではパイオニア賞を受賞。