Forbes BrandVoice!! とは BrandVoiceは、企業や団体のコンテンツマーケティングを行うForbes JAPANの企画広告です。

2021.07.02 16:00

アストロスケール岡田光信が「Ferrari Roma」に見いだしたビジネスの本質

スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去に取り組む世界初の宇宙ベンチャー、アストロスケールを率いる岡田光信にとって、フェラーリは気になりつつも少しギャップを感じる存在だった。しかし、邂逅(かいこう)の瞬間に劇的な“化学反応”が起こる。アストロスケール起業の瞬間にも似た運命的なインスピレーションは、岡田のビジネス哲学とフェラーリの真髄が共鳴するサウンドでもあった。


「魔法」に近い最先端技術がエンジニアリングの極致を実現


「思いどおりに動く車に乗ったのははじめてです」

これまで、すべて異なる6台の車をプライベートで乗り継いできたというアストロスケールの創業者兼CEOである岡田光信は、フェラーリの新型クーペ「Ferrari Roma(フェラーリ・ローマ)」に乗った直後、そう言葉を発した。思いどおりに動く――当たり前だと思いがちだが、想像を絶する精度のスペースデブリ除去衛星を実現させた岡田だけに、そこに込められた意味は非常に重い。

「スペースデブリを除去するには、除去機である人工衛星を緻密に思いどおりに動かす必要があります。なぜかというと、デブリは秒速7〜8kmという凄まじいスピードで飛んでいて、たった90分で地球を1周してしまうからです。しかも、回転しながら動いています。ぶつかるとさらにデブリをまき散らすので、それぞれのデブリの回転状態を見極め、除去機をその姿勢に合わせなければなりません」

「飛んでいる飛行機を捕まえるほうがよほど簡単」と岡田が話すほどの精度の高さ。アストロスケールが衛星開発に成功するまで、誰も実現できなかったのもうなずける。むしろ、何をどうすれば実現できるか、道筋をつけようとすることすらなかったはずだ。実際、岡田は起業したとき、「技術がない」「世界がYESを言わない」「市場がない」などと周囲に笑われた(※)。

※2018年11月に「Forbes JAPAN CEO Conference 2018」で「日本の起業家ランキング2019」の1位に輝いたときの岡田のスピーチより



アストロスケール 創業者兼CEO岡田光信

しかし、1950年に1個もなかったスペースデブリはいまや1億個以上(※)あるとされ、通信衛星に衝突するといった事故が何度も起きている。GPSシステムや天気予報、災害予測などに障害をおよぼすリスクは高まる一方だ。地球の持続可能性を高めるため、どんなに困難でも、デブリ除去を実現させなければならない――。シンプルかつ非常に困難なミッションの達成に向けて、岡田は歩み続けた。結果、ついに世界初の民間デブリ除去衛星「ELSA-d」の打ち上げ・軌道投入に成功したのが、2021年3月22日のことだ。

※1mm以上のスペースデブリ個数(出典:宇宙航空研究開発機構(JAXA))
https://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/15954.html

「最先端の技術は『魔法』に近いと思っていますが、手前みそながら、私たちの衛星もそこに近いレベルまで到達しています。エンジニアリングの極致がそれを可能にしたわけですが、フェラーリ・ローマも同様のオーラを放っています。


「男性が纏えるものはスーツと時計、車くらい。落ち着いて自分を“スッと纏ってくれる”車だと直感しました」(岡田)

これは、哲学の域まで高めたコンセプトを心身まで染み込ませているチームメンバーがいるだけでなく、それ以上にコンセプトと一体化しているプロジェクトマネジャーがいないと実現できません。想像ですが、フェラーリの現場にも、多くのメンバーが侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を戦わせるなかで、最後にシャウトして責任を負いプロジェクトを牽引するマネジャーが存在するのではないでしょうか。アストロスケールの社員も、私も同じなのでよくわかります」

フェラーリの広報担当者に岡田の「想像」が当たっているかを問うたところ、イタリアの工房ではまさにそうした激しいやりとりが日常的に繰り広げられているそうだ。極致を目指し、たどり着いた者だけが見ることのできる光景なのだろう。



経営者として「言行一致」を重視するようになったという岡田。「若い頃と違い、自分を“スッと纏ってくれる”車をそろそろ見つけたいと思っていましたが、フェラーリ・ローマの一体感はその心境にぴったりです」

高次元の「調和」を生み出した懸命な試行錯誤


ちなみに、岡田がフェラーリ・ローマのオーラを“本物”と確信したのは、ブレーキの瞬間だという。

「フェラーリ・ローマに乗って気づいたのは、いままで乗り継いできた車は『運転したいとおりに動かなかった』ということです。もちろんほんのわずかの差なのですが、アクセルを踏み込んでから動き出すまでに少しの時間が空くとか、曲がりたいときも少し感覚とズレたりとか。でもフェラーリ・ローマは違いました。

特にブレーキを踏んだときには『これだ!』と思いました。わずか3~4秒で時速100kmに達する加速のスピード感も素晴らしいのですが、思いどおりに止まる気持ちよさは、これまでに味わったことがないものでした」



包み込むような一体感を味わいながら、洗練されたUIに感嘆する岡田。「これはすごい。ここまでUIをシンプルにできるんですね」(岡田)

至福の感覚を支えているのは、エンジンやトランスミッションだけではない。運転席に身を収めた瞬間、岡田は「カヤックのようだ」と感嘆の声を漏らした。

「足がスーッと包まれて……。カヤックは、足を前に入れて水面に浮かぶと非常に一体感があって、空がとても広く見えるのですが、同じような感覚がありました」

プロダクトと自然、そしてその中心にいる自分が一体化していく。岡田はその感覚を「調和」と表現する。

「僕は農学部の出身で、土と微生物、植物と動物の間にある空気や水の流れを勉強したこともあって、調和の中で生きているということを深く感じてきました。だから、調和をとにかく大事にしたいという思いがどこかにありつつも、いろいろなことにチャレンジして失敗も繰り返してきました」

あらためて岡田のキャリアをたどると、実にさまざまな変遷を経ている。東京大学農学部に学び、「日本のために貢献したい」と大蔵省(現財務省)へ入省。マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営コンサルティングに従事したのち、IT業界へ転身。金融業界を経験したのち2社の起業も経験した。

「うまくいったときもありましたし、相当な大失敗もしていますが、宇宙にゴミがたくさんあることを知ったとき、スッと腹落ちしたんです。しかも誰もまったく解をもっていないし、一切の競合がないと知って。よくぞこれだけ挑戦しがいのある課題が残っていてくれたと思いました」

“腹落ち”できたのは、迷いや失敗があったからこそだと岡田はいう。例えば、大蔵省での経験にしても、「遠回りした」と感じたときもあったが、“政府の言語”を理解できるスキルは、各国政府との折衝も多い宇宙ビジネスで大いに役立っている。苦しみもがいた思いと経験が糧となり、まったく前例のないスペースデブリ除去事業というアストロスケールの企業構想として調和・結実したのだ。

まず、揺るぎないコンセプトを固めることが大事


紆余曲折を経て、掴み取った最高の課題。しかし、志は立派でも成果が出ない取り組みは世間にいくらでもある。前例もなく、実現の道筋もまったく見えない難問をミッションとしたアストロスケールは、そうした事例よりはるかに厳しい条件を課せられた形だが、なぜ起業し事業継続できたのだろうか。岡田の話を聞くと、そこにも過去の経験が生かされているようだ。

「若いときは、自分を大きく見せようとしたときもありました。でも、経験を積み重ね、成長するなかで経営者は『考えること・実行すること・しゃべること』が一致しなければならないと気づきました。どれか1つでも齟齬(そご)が出ると、すべてが崩れてしまいますし、すべて一致していれば落ち着いてどんな課題にも取り組めるのです」

「考えること・実行すること・しゃべること」を一致させる――単純な言行一致主義ではなく、目指すべきミッションをブレさせないということだ。否、ブレるようなミッションを設定しないことが重要なのだろう。そこには、岡田が迷いと失敗を繰り返した末に最高の課題を掴んだように、そして、冒頭で紹介したようなフェラーリの工房での妥協なき取り組みのように、哲学の域まで到達させたコンセプトがあるはずだ。
 
「アストロスケールのデブリ除去衛星も、当初は完成の姿がどんな大きさでどんな形なのか、誰も解を持っていませんでしたし、取り組んでいくと、本当に山ほど課題が出てきたのです。かけられるコストも時間も限られていますから、デザインやエンジニアリングの都合だけを優先するとどこかで妥協が生じたり、コストオーバーになったり、ビジネスとして成立しなかったりします。スタート時に揺るぎないコンセプトを固めるプロセスをたどること、100%そのコンセプトを信じるメンバーを揃えることが重要です。そうさせるためにも言行一致を守り抜いていますし、心を美しく保つことに気をつけています」


「フェラーリにはゴツゴツしたやんちゃなイメージがありましたが、フェラーリ・ローマは非常にエレガントで、高次元の調和を感じます」(岡田)


フェラーリのチーフデザイナー、フラビオ・マンツォーニは、歴代4シータークーペの中でもっともパワフルでありながら、運転のしやすさなど日常性を兼ね備えた「フェラーリ・ローマ」を「イブニングドレスに身を包んだF1マシン」と称した。優美かつ最高峰の力強さをもつプロダクトという難題を解決できたのは、岡田が大切にしているビジネス哲学と同様に、揺るぎないコンセプトを固めてチームで共有するプロセスがあったことは想像に難くない。

「ローマ」というネーミングには、第2次世界大戦後、復興を目指すため本質をあらためて徹底追求した1950年代をいまこそ見直すべきだというメッセージも感じられる。世界全体が大きな分岐点を迎えるとともに、予測不可能な変化が次々と訪れるいま、毅然とした理想(コンセプト)を打ち立て、いかなる難題や変化にもぶれないようにあらん限りの情熱を注ぐことがいかに重要か。「フェラーリ・ローマ」と岡田の邂逅は、いつでもその重要性に気づくための、いわば次代を切り開く原点として共鳴のサウンドを奏でたのかもしれない。


Ferrari Roma
古きよきローマの時代をイメージしたエレガントさにパワーを兼ね備えた、まさにイブニングドレスに身を包んだF1マシン。ローマで2019年11月に発表。日本では20年4月に上陸。全長4,656mm×全幅1,974mm×全高1,301mm。3,855ccのV8ターボをエンジンフロントに搭載し、0-100km/hの加速は3.4秒、最高速度は320km/hを実現する。車両価格2,676万円(税込)~

Ferrari Roma
https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/ferrari-roma


おかだ・みつのぶ◎東京大学農学部卒業、米国パデュー大学クラナート MBA修了。大蔵省(現財務省)主計局、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ターボリナックスなどを経て2013年にアストロスケールを起業。現在、国際宇宙連盟(IAF)副会長、英国王立航空協会フェロー(FRAeS)、世界経済フォーラム(ダボス会議)宇宙評議会共同議長なども兼務。



公開中|01 日本初のCDO・長瀬次英が語る、「Ferrari Roma」が女性も虜にする理由
本記事|02 アストロスケール岡田光信が「Ferrari Roma」に見いだしたビジネスの本質
公開中|03 シタテル河野秀和とフェラーリ「ポルトフィーノM」がシンクロする、至高を生む「再発見の旅」

Promoted by Ferrari / photograph by 茂呂幸正 / text by 高橋秀和 / edit by 高城昭夫 / directed by 安藤修也