エンジンは基本的に、発電機として使われる。街中での一般走行では、大容量バッテリーに支えられたモーターで走る。ところが、強めにアクセルを踏むと、エンジンが作動して電力をサポートする。高速道路などではもっとパワーが必要であり、エンジンで走行した方が効率が良い場合は、エンジンが前輪に直結して走行する。ドライバーとして気づくのは、エンジンノイズだ。必要に応じてエンジン、モーター、バッテリーが作動したりする働きは、シームレスではありながら静かなEVモードに対して、エンジンがかかると、キャビンにノイズが広がるのは唯一見つけた問題点なのかな。。
エンジンがかかった時はもちろんわかる。もちろん、CVTと組み合わさっているので、ショックはこないからギクシャクした走りではない。EVで加速しても、エンジンで加速しても、違和感はないけど、パワー的には、0-100km/h は10秒弱と、マツダCX-3、トヨタCH-R、日産キックス、スバルXVなどのライバルとはあまり変わらない。
このクルマはワンペダルでの運転はできないにしても、Bレンジに入れて、アクセルを緩めるとかなりの減速はできる仕組みになっている。正直なところ、このBレンジを選んで低速走行すると、アクセル1つでクルマは完全には止まらないものの、しっかりと減速できる。またパドルを使うと、減速度のコントロールができる。
ボディ剛性は凄くしっかりしているというか、硬いね。バッテリーがいっぱいの時は、静かなEVモードで走ってくれる。振動は路面から伝わってくるけど、そのビビリ振動の触りは丸めているので、乗員は楽ちん。また急な坂を下る時に、ヒルデセント・モードに入れれば、選択した低速で自動的にブレーキをかけながら、安全に降ってくれる。
ボデイのねじり剛性は15%アップしており、サスペンションの前後のつけねの部分の剛性を強化しているので、コーナリング性能がとても安定しているし、ボディロールが抑えられている。また、コーナリング時に、「内側のブレーキを適度につまんでヨー*を発生してあげる」システムが付いている。だから、非常に正確かつ滑らかなターンインができるわけだ。
*ヨーイング(簡単に解説すると車の垂直中心軸まわりに働く力。コーナーリングに不可欠な要素)
また、ドライバーから見ると、ステアリングフィールのレベルの高さに驚く。直進時には遊びがなくピタッと収まるし、コーナーで切っていく時でも、狙ったラインを綺麗にトレース。高速道の繋ぎの部分ででも、路面の凹凸などはきれいに吸収してくれるので、乗り心地は旧型よりグーンと向上している。
安全性も高い。踏み間違え防止を重視し、ACC、誤発進抑制、さらに向上したブラインド・スポットモニターをフィーチャーするホンダ・センシングという安全装備はクラストップレベルになっている。
未来的でクリーンなスタイリング、質感の高いインテリア、燃費を重視した1.5Lハイブリッド、そして軽快な走りはの組み合わせは、中型SUVクラスの王者を狙う。僕が乗ったAWDのハイブリッド「Z」は308万円とリーズナブルだ。
国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
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