香港に上場する快手科技(クアイショウ・テクノロジー)の株価は5月25日に11.5%下落し、2月のピーク時からの下落率は50%に達した。快手は2月5日の新規株式公開により54億ドルを調達していた。
快手の共同創業者でCEOのSuは、同社の株式の12%を保有しており、上場直後の保有資産は約192億ドル(約2兆円)と試算されていたが、現在は128億ドルに低下している。彼はグーグルチャイナとバイドゥの幹部を経て、同社を創業した。
快手は中国で約5億2000万人の月間アクティブユーザーを抱えているが、ユーザーがアプリ内で購入するバーチャルギフトや、チップの売上は減少している。同社のライブ・ストリーミング事業部門の第1四半期の売上は、前年同期比19.5%マイナスの73億元(約1200億円)だった。
快手は証券取引所に提出した報告書の中で、業績不振の原因として、厳しいロックダウンが解除されたことで、人々がオンラインで過ごす時間が減少したことを挙げている。
さらに、同社はコストの増加にも悩まされている。販売・マーケティング費用は前年同期比44%増の117億元となり、売上高全体の68.5%を占めている。一方で快手の競合企業のテンセントやビリビリ動画らは業績を伸ばしている。10億人以上のユーザーを抱えるテンセントのWeChatも、ここ最近は動画に注力している。
快手は主に広告事業で、売上の低下を補おうとしている。第1四半期の総売上は、オンラインマーケティングサービス事業が、2倍以上の86億元に伸びたことで、前年同期比37%増の170億元となった。また、Eコマース事業の売上高も589%増の12億元だった。しかし、純損失は前年同期の305億元から578億元に拡大した。
アナリストは、収益構造の多角化を目指す快手の試みが、コア事業のライブ動画の売上減少を補うために役立っていると認めながら、中国のライブ動画市場での激しい競争を考えると、同社の前途は険しいと考えている。
しかし、快手には明るい話題もある。同社はここ最近、海外事業を強化しており、KwaiとSnackVideoという2つの新たなアプリのMAUは1億5000万人に達している。
「当社は海外進出を強化するにあたり、南米と東南アジア市場を重視している。当社のビジネスモデルとエコシステムは、中国以外の市場でも大きなポテンシャルを秘めている」と、快手は述べている。