同社のこれまでの最大の買収は、2017年に137億ドルを支払ったホールフーズの買収だった。また、その他の10億ドル以上の買収案件としては、靴のEコマース大手の「ザッポス」(2009年に12億ドルで買収)や、自動運転の配車サービスを開発中の「Zoox」(2020年に12億ドルで買収)などが挙げられる。
その他の高額な買収案件としては、スマートドアベルメーカーのRing(2018年に8億3900万ドル)、オンライン薬局のPillPack(2018年に7億5300万ドル)、ゲームのストリーミングのTwitch(2014年に9億7000万ドル)、ロボティクス企業のKiva Systems(2012年に7億7500万ドル)、Diapers.comなどのEコマースサイトの親会社のQuidsi(2010年に5億4500万ドル)などが挙げられる。
さらにアマゾンは、今では営業利益の大半を占めるようになったAWS関連にも多額の投資を行い、10社以上を買収した。ここに含まれるのは、2018年に5億ドルで買収したモバイル動画サービスのElemental Technologiesや、2017年に2000万ドルで買収したサイバーセキュリティ企業のharvest.aiなどだ。
また、映画関連ではMGM以外にも、映画データベースのIMDB(1998年に他の2社を含む5500万ドルの買収の一環として購入)や、DVDレンタルサービスのLovefilm(2011年に約3億ドルで買収)、映画の興行成績を集計するサイトBox Office Mojo(2008年に非公開の金額で買収)などを買収してきた。
一方、出版関連では、オーディオブック販売のAudible(2008年に3億ドルで買収)や、ソーシャル読書サービスのGoodreads(2013年に非公開金額で買収)、書籍出版のAvalon Books(2012年に非公開金額で買収)、中古書籍販売のAbeBooks(2008年に非公開金額で買収)などを買収し、書籍分野での足場を強化している。
アマゾンによるMGMの買収は、早ければ数日中に最終決定される可能性があるが、WSJによると「最終的に合意に達する保証はない」という。しかし、この契約が成立すれば、MGMのライブラリーから何千もの映画やテレビ番組がアマゾンのストリーミングサービスに追加される。
MGMの100年にわたる歴史はサイレント時代にまでさかのぼり、アマゾンはジェームズ・ボンドやロッキーなどの名作映画から、人気ドラマの「侍女の物語」シリーズまで、膨大なタイトルにアクセス可能になるかもしれない。ただし、「オズの魔法使い」や「風と共に去りぬ」など、1948年以前に同スタジオで製作された名作は、WSJによると、すでにワーナー・ブラザースに売却されている。