ビジネス

2021.05.28 12:00

遠山正道x杉田陽平 なぜ今、企業がアートに魅了されるのか(後編)




遠山:最近よく言うんだけど、これからは個人の時代というか、プロジェクトの時代。決まりきったビジネスのスキームがなくなって、一人ひとりがプロジェクトを組んでいく。世の中の会社は本体は10分の1くらいになって、社員はフリー契約、フリーのサラリーマンとなっていく。

もちろん、個人からすると自分の価値やパフォーマンスが出せなければエージェント契約できないから、楽な道ではない。でも、自律的な働き方ってがやりがいありますよね。

企業も同じく、本業だけやっているわけにはいかなくて、複業を見つけないといけない。私自身、三菱商事の社員だった時期にSoup Stock Tokyoを始めたのですが、三菱に決裁を通してもらいましたから。企業も個人も複業をしながらなんとか楽しく生き延びていく時代だと思います。

杉田:いいですね。これまでは大多数の意見があるとその流れに逆らえなかったけれど、いまはひとりだけ違う意見を持っていたりすると重宝される。それがすごくいいなって。我慢していた人たち、本当だったら輝ける人たちが、いまようやく輝けるかもしれない。それこそ、変な人ほどいいかもしれない(笑)。

遠山:私、久しぶりに作家として、7月開催予定の「東京ビエンナーレ2020/2021」に出品するんです。ぜひ、いらしてください。「社会的私欲」などと言っているのですが、自分の「好き」を掘っていって、あるときバンッ!と社会と通じるのが理想なんです。アートもまさにそうであるといいなと。

杉田:僕も同じく7月に大丸東京店の1階で個展があります。百貨店はいま、美術部門だけが黒字なんですって。大丸東京店も「アート週間」ということで、全館で美術をやるらしい。階が上にいけばいくほど、レジェンドな作家の作品が見られます。

遠山:いや、1階が一番ですよ。

杉田:はい!頑張ります(笑)。


とおやま・まさみち◎1962年、東京都生まれ。2000年、株式会社スマイルズを設立し、代表取締役社長に就任。食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo」、ネクタイ専門店「giraffe」等を展開する。18年11月、アートと個人の関係をテクノロジーで変革する新会社「The Chain Museum」をクリエイター集団PARTYと共同出資で設立。

すぎた・ようへい◎1983年、三重県生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科在学中に革新的な絵画を次々に考案し、さまざまな絵画コンクールで受賞を重ねる。現在は個展を開けば即完売という現代美術家のひとり。2020年、婚活サバイバル番組『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン1(Amazon Prime Videoにて独占配信中)に参加、「杉ちゃん」として人気を博す。5月27日から6月10日まで「マネゴン〜太陽と月2」をArtStickerでエントリー制販売

取材・構成=堀 香織 撮影=山本マオ

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