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2021.05.30 11:00

「Boys Lie」がステイホームのファッショニスタに支持される理由


心の傷はさておき、2020年のファッション界ではスウェットパンツ自体も脚光を浴びた。市場調査会社NPDグループのデータによれば、2020年3月から7月にかけて、アパレル全体の売上は前年比で34%減少した一方で、スウェットパンツは2%増加したという。

だが、ナイキやアディダス、チャンピオン、リーボックなど何十年もの歴史を持つスポーツブランドから、バンディアー(Bandier)、ナーダム(Naadam)、ヴオリ(Vuori)などここ数年で立ち上げられた新しいレーベルまでが存在するパーカー/スウェットパンツ市場は、こぢんまりとした場所で大勢がひしめしている状態と言ってもいいだろう。

そうした状況をものともせず、ボーイズライは、2年のうちに数百万ドル規模のブランドに成長した。

ブランドを立ち上げる前のオマリーは、ローカルビジネスの口コミサイト「Yelp(イェルプ)」の営業担当者を務めていた。ロビンソンは、家族経営の化粧品製造会社で働いていた。ともにペンシルベニア州ラドナー生まれの2人は、家族や友人から25万ドルを借りて化粧品ラインを立ち上げ、「ボーイズライ(男たちは嘘をつく)」という名をつけた。自分たちが大学時代に経験したつらい失恋を記念してのことだ。

大学当時の2人が付き合っていた相手は、たまたま親友同士だったので、彼女たちはそれで親しくなった。それぞれの恋愛関係が壊れたあとも、2人は親交を続けた。「ボーイズライ」は2人の合言葉、そして心を癒す呪文になり、やがて会社の名前になった。2人は2018年にその名称を商標登録し、香港へ飛んで、ブランドのパッケージ化に取り組んだ。

化粧品分野でのロビンソンの経験は、あまり役に立たなかった。2人はベンダーに関する問題にぶつかり、気がついたときには多額の借金を抱えていた。

しかし2人は、補足的なラインとして販売していたボーイズライ・ブランドのTシャツなどの商品のほうが、化粧品よりも売れ行きがいいことに気がついた。2人は2019年、化粧品ラインをたたみ、本格的なスウェットレーベルとしてブランドを再スタートさせた。


Boys Lieの商品

オーバーサイズのトップス、丈の短いTシャツ、スウェットパンツは、1年を通じてブランドの主要な収入源になった。毎年春には、スリムで薄いインナーを発売した。たとえば、体にぴったりフィットするジャージー素材のコルセットや、ヒット商品になったアシンメトリーなデザインのロゴ入りブラレットなどだ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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