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2021.05.30 11:00

「Boys Lie」がステイホームのファッショニスタに支持される理由

Boys Lieの共同創業者、Leah O'MalleyとTori Robinson(photo OSCAR GARCIA)

Boys Lieの共同創業者、Leah O'MalleyとTori Robinson(photo OSCAR GARCIA)

2020年のファッションブログやメインストリームのメディアは、ルイス・キャロルの本のなかから抜け出したような、豪華でちょっと風変わりな在宅ワーク服の話題でもちきりだった。

だが、2020年の誰もがドレスアップしたい気分だったわけではない。「ボーイズライ(Boys Lie)」のダークウォッシュのゆったりした220ドルのデニムパーカーも、パンデミックのなかで人気を集めた。このブランドが、自宅から出られない若い女性たちの共感を集めたからだ。

「デニムパーカーだけでも2000着以上売れました」と語るのは、ボーイズライの創業者、26歳のリー・オマリー(Leah O’Malley)だ。「尋常ではありません。というのも、発売するたびに、当社のサイトだろうが、アーバン・アウトフィッターズやリボルブのサイトだろうが、即座に売り切れてしまうんです」

アリアナ・グランデ、ジジ・ハディッド、ノア・サイラス、ホールジー、ヴァネッサ・ハジェンズ。この面々は、ボーイズライを有名にしたスターのほんの一部にすぎない。そうしたスターたちの影響もあって、スタイリッシュな部屋着を求めるムードはロックダウンの前から高まっていた。

ボーイズライの典型が、起毛されたビンテージ風のスウェットだ。背中などには、失恋のつらい現実に触れた励ましのスローガンや、胸に刺さるポエムがあしらわれている。

例えば、「What are you going to do without him? Whatever I want.(彼なしでどうするつもり? そんなの私の勝手)」「Let me be clear. My love is unconditional; your presence in my life is not.(はっきり言わせて。私の愛は無条件だけど、私の人生のなかのあなたの存在はそうじゃない)」「1-800-Boys-Lie(フリーダイヤル男の嘘)」といったメッセージだ。

そのスウェット(と傷心)を足場にしてブランドを構築する。その戦略は、共同創業者のオマリーとトリ・ロビンソン(Tori Robinson)に大きな利益をもたらしている。オマリーとロビンソンは、フォーブスの「30アンダー30」リスト2021年版のアート&スタイル部門にも選出された。彼女たちによれば、ブランドの売上は、創業した2019年には60万ドルだったが、2020年には500万ドルを超えたという。

オマリーと同じく26歳のロビンソンは、「パーカーやスウェットパンツを売っているだけはありません」と話す。「ボーイズライは、本質的にはひとつのムーブメントです。心の傷を抱えた人が、傷の癒し方を知ること。そして、そうしたコミュニティをつくることなんです」


モデルのAudrey Hilfiger と Camille Opp
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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