パンデミックはアマゾンにとって、むしろ絶好の機会になった。多くの消費者が生活必需品の購入のためでさえ、家から出る危険を冒したくないと考えるなか、アマゾンはまさに、そうした人たちのニーズを満たせる企業だったからだ。
パンデミック初期の数カ月、アマゾンは毎秒1万ドル(約110万円)という驚異的なペースで売りまくり、四半期決算で素晴らしい数字をたたきだした。米国では従業員を17万5000人増やす計画を進めており、うち7割は正社員が占める見込みだ。
2020年1〜10月に、アマゾンは世界全体で従業員を42万7300人増やした。これは同社にとって過去最大の増員になった。さらに北米などでの追加採用により、世界全体の従業員は120万人超に膨らむ見通しだ。アマゾンはすでに米国企業としては全世界従業員数が2番目に多く、5万5000人を雇用する英国でも最大級の雇用主になっている。
問題は、こうした変化を通じて、パンデミック後の世界がどのようなものになろうとしているかだ。同社のビジョンでは、パンデミックによってもたらされた新しい習慣によって、電子商取引(EC)がさらに拡大することが示唆されている。米国のEC規模は1兆ドル(約110兆円)に膨らむとの予想もある。
こうしたシナリオが正しければ、多くの消費分野で大きな変化が起きることになり、それは大規模な流通を含めて多くの分野が根本的に再定義され得ることを意味する。実際、パンデミックは多くの世帯にとって、ECについて実地で学び、これまで実店舗で見たり触ったりしていたような商品でも、ワンクリックでの買い物にメリットや利便性があることを知る機会になった。