アナリストが挙げている一つめのトレンドは、電子商取引(EC)の成長加速が続くことだ。ECが商取引全体に占める割合は2020年、実店舗の営業制限などの影響で3年分相当の伸びを記録している。
二つめは、パンデミック後も全労働者のおよそ4分の1がリモートワークを続けると見込まれること。ゴールドマンは、通勤や対面の会議、オフィススペースを減らすことで浮く時間や経費を、より利益のあがるほかの目的にあてた場合、国内総生産(GDP)と生産性が高まる可能性があるとしている。
三つめは、ゴールドマンのアナリストらが「創造的破壊」と呼んでいるものだ。これは、成功しておらず利益も出せていない事業や企業がパンデミック中に閉鎖される現象を指している。ただ、そうした淘汰の規模は2008年の金融危機時に比べればはるかに小さいとも言及している。
アナリストらは、これら3つの要因によって、米経済の生産性は2022年までに少なくとも2%、最大では6.7%上昇すると予想している。向こう3年のスパンではベースラインで3.9%(年率換算では1.3%)の上昇を見込む。
リポートではこう記している。「経済の再開や公衆衛生状況の改善によって、ショッピングモールや飲食店、職場で人の往来が増えているのは確かだが、パンデミックをきっかけとした消費パターンや時間の使い方の変化の多くは元に戻りそうにない。とりわけ、経済や社会活動のデジタル化に関連したものはそうだろう」
米シカゴ大学のベッカー・フリードマン研究所も最近の論文で、在宅勤務はパンデミックの収束後も継続され、出勤日に占める在宅勤務日の割合はパンデミック前の5%からパンデミック後には20%に高まると予想。この変化によって生産性が5%高まると試算している。