今回のラウンドは、Uncork CapitalとFoundry Group、Crosslink Capitalらが共同で主導し、Yコンビネータも参加した。
インスクライブは、住宅ローンやオンライン保険などの申し込みの際に、顧客が提出するドキュメントの不正を検知する企業だ。
「これらのプロセスのオンライン化は、詐欺犯たちに扉を開くことになる。自動化によって、顧客エクスペリエンスは向上するが、システムの脆弱さを突いた犯罪行為が増えている」と、インスクライブのCEOを務めるRonanは話す。
Ronanによると、彼らが対処している問題には、より良い条件やより大きな融資を得るために、事業の収入や所得を水増しする行為が含まれるという。また、国際的な詐欺師が銀行や暗号通貨取引所の口座を開設するために、住所を改ざんする場合もある。
彼らが発見した詐欺犯罪の一つは、昨年7月にニューヨーク・タイムズに掲載された。この事件の犯人であるフロリダ州の男は、連邦政府から400万ドル近い融資を受けてランボルギーニなどを購入し、最終的に銀行詐欺で起訴された。
インスクライブは現在、3つのステップを踏んで、特定のドキュメントの真実性や虚偽性を判定している。まず行うのが、ドキュメント・フォレンジックだ。同社は、不正の証拠を発見するために、フォント構造やドキュメント内のピクセルなどの細部を調査する。さらに、メタデータに含まれる不審な動作や、ファイル内の非視覚的な証拠も検証する。
2つ目は、同社のデータネットワークを活用したものだ。インスクライブはこれまでの業務を通じて、詐欺師や組織的な犯罪者集団のパターンを発見している。
そして、最後に行うのが、書類に記載されている情報の検証と確認だ。インスクライブは氏名や日付、住所、収入などをチェックし、金融機関が保管している情報と一致しているかどうかを確認する。
Yコンビネータが認めた起業家
同社の収益モデルは、ドキュメントのボリュームに応じて課金を行うものだ。昨年3月の立ち上げ以来、インスクライブは前年同期比12倍の成長を遂げ、顧客にはAmountやBlueVineといったフィンテック企業が名を連ねている。
ダブリン出身のRonanとConorは、2017年にインスクライブを共同創業し、ConorがCTOを務めている。彼らは、2018年夏のYコンビネータに参加し、シードラウンドで320万ドルを調達し、2020年の初めにサービスを立ち上げた。
今回の資金調達をリードしたUncork CapitalのマネージングパートナーであるJeff Clavierは、インスクライブに惹かれた理由として、対象とする市場の大きさや、同社のテクノロジー、そして創業チームを挙げている。
「犯罪者たちはあらゆる機会を利用して、書類を偽造したり、収入や財務を偽ったりして不正を働こうとしている。インスクライブはそれらを防ぐための有用なテクノロジーを持っている」とClavierは話した。