働き方改革のコンサルティング企業「ワーク・ライフバランス」(社長:小室淑恵)が今年3月中旬から4月5日にインターネット上で行った「コロナ禍における中央省庁の残業代支払い実態調査」に、国家公務員316人が回答した。回答者のうち、20代が141人、30代が124人、40代が45人、50代以上が6人だった。
国家公務員の残業代にあたる「超過勤務手当」を巡っては、実態に即して支払われていないとの指摘を受け、今年1月22日、河野太郎行政改革担当大臣が会見で、国家公務員の超過勤務手当について「残業時間はテレワークを含めて厳密に全部付け、残業手当を全額支払う」と表明し、麻生太郎財務大臣の理解を得たと説明していた。
残業代にあたる「超過勤務手当」が正しく支払われたと答えたのは、約6割止まりだった
回答者内訳は国土交通省54人、厚生労働省46人、防衛省38人の順に多く、各省庁別の比較の際には回答数の少ない人事院、復興庁、その他は除く。
コロナ禍に政府のデジタル化が推進される一方で、今回の調査では、長時間労働の原因となるアナログな労働実態が浮き彫りになった。調査結果のグラフとともにその現状を見ていきたい。
霞が関「長時間労働」の背景に、2つの大問題
Forbes JAPANでは、若者の政治参加を呼びかける「NO YOUTH NO JAPAN」とのコラボ連載「U30と考えるソーシャルグッド」で今月、官僚や国会議員の長時間労働の実態と背景について特集した。小室氏は霞が関で常態化している長時間労働について「彼らの働き方がこの国の残業時間の震源地になっている」と指摘していた。
(記事:男性育休の権利放棄。ブラックな働き方、なぜやめられないの?|#U30と考える)
この問題の背景には、小室氏は「国会議員の質問通告時間の遅さと、国会議員や省庁幹部のアナログな働き方がある」と語る。与野党間では、国会の委員会などで行われる質問は、原則として2日前までに担当省庁に通告され、担当の官僚が答弁を作成する「2日前ルール」の申し合わせがあったが、かねてより形骸化が指摘されている。今回の調査では、85%が守られていないと回答した。